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アジアツアー

6月19日から7月8日までロイヤルフィルはアジアツアーに出かけました。台湾、日本、韓国、中国と4カ国を20日で渡り歩き、最後の中国は1日おきに飛行機で移動で20日間1日のオフもなく移動とコンサートを続けた後さすがに7月8日の夜ヒースロー空港にたどり着いた時の皆の顔はゾンビのようでした。

台湾から始まった今回のツアー。冬のようなロンドンからいきなり30度を超す気候へ移動してとにかく暑い暑いと皆言っていましたが、暑さはさておき台湾はアジアの中で私の好きな国の一つです。同じ中国人でも台湾の人は穏やかで優しく温かみにあふれ昔の古き良き日本を思い出します。今回のプログラムはフランス音楽が中心で我々はあまり慣れていないものでしたが台湾の聴衆は温かく迎えてくれました。

その後日本へ移動。ヨーロッパからアジアへの移動はその逆より時差ぼけが大きく、ツアーが始まってまだ少しも経っていないのに皆上手く睡眠がとれずかなり疲れ気味でグロッキー。プログラムも未だ余裕をもって弾くところまでいっておらず緊張気味。そしてようやくアジア時間に慣れて来たところで韓国へ移動。

コンサート的には韓国でようやく焦点が定まって来て、また体内時計もようやく調整されてきてかつツアー2週間目で体力もまだ残っており、一番良かったように思います。韓国は日本の高度成長期のように活気に溢れていました。そんな中皆焼き肉をたらふく食べ、やっとコワくなくドビュッシーの海とラベルのダフニスとクロエが弾けるようになって中国へ移動。いろいろな意味で韓国がピークだったかも、です。

3週目の中国。いよいよ皆疲労が見え出した最後の1週間は飛行機の移動が何度も入り一番大変だったかな。今中国はどこもかしこも建設現場で異様に高く大きいビルを見るのにも辟易したし、どこでも衛生面や臭いが気になり、皆ホームシック気味。顔をつきあわせ口を開けば”I want to go home"。おまけに中国の聴衆はうるさい。携帯の音は鳴るわ、ごそごそしっぱなしだわ、誰かはしゃべってるわ、人は移動してるわ、演奏中携帯電話で写真は撮りまくるわ、でそういうこととは関係なくいつもちゃんと弾くべき私たちも、ああもどうでもいい感じだと(彼らはそういうつもりではないのかもしれないが)こちらもどうしてもいくらかどうでもいい感じになるというもの。ホール側の人が演奏中の写真撮影を牽制するため赤いライトで遠距離から撮影しようとする人の手元を照らすのですが、それがあまりの数で弾きながら見える。モグラたたきみたいに光があちこちで照らされ、聴衆側がなんだかレーザー光線のショウみたいになっているのが。さすがに北京ではお客さまも比較的静かでしたが。

今回アジアの国々を廻りながら国や、人、物事の繁栄衰退の道みたいなものを逆回りで見たような気がして、人はこういうことを通して一体何を求めているのかな、と思いました。

このツアーをアジアサイドでマネージしたのは梶本でした。梶本というのが日本の大手マネージメント会社くらいのことは知っていましたが、どんなスケールのどんな会社なのか全く知りませんでした。行く先々に有能な子分達(!)が配属されていてそのオーガナイズ能力の高さに感服し、モチは餅屋に任せろ、という言葉を思い出しました。日本は今世界から取り残されそうになっているという話しをよく聞きますが、こうやって競争の激しい世界、マーケットの中で押しつぶされそうになりながらも渡り合い頑張っている企業もある。梶本のきめ細かい丁寧な仕事、オーガナイズ能力のおかげでロイヤルフィル側のマネージメントはとてもやり易かったはず。そういう日本人の仕事の丁寧さみたいなものをきちんと強味にして、図々しい輩がうようよしている中でもそれを証明しながら小さい会社も大きい会社も個人も頑張っていって欲しいな、と思いました。日本には誇れる特質がたくさんあるのだから。

そして夕焼けの中降り立ったヒースロー空港でiphoneのスイッチを入れると、、、

”良い弓入りました。至急連絡くれたし”。アジアモードもお疲れモードも一気に吹き飛びロンドンモード、ON!!

# by Shinko_Hanaoka | 2013-07-19 22:22  

弓探しの、巻

ずっと冬のようだったイギリスにも6月に入ってようやく春が訪れました。と言ってもいつまで続くかわからないこの陽気、というよりこれが今期最後かもしれないお天気の数日、おてんとうさまが上で輝いているうちに十分楽しんでおかないと!

さて、私はそんな中5月は弓探しの奔走していました。楽器と弓。これは弦楽器奏者にとってはとても大事なことで、先日友人チェリストのコンサートに行ったときも痛感しました。彼は素晴らしいチェリストなのですが、楽器も弓も良いものを持っていない。そうするとバービカンホールのような大きな場所でコンチェルトなどを弾くと感動を呼ぶ事ができない。音の魅力とはすごい力だと最近よく思う。音に魅力がないとどんなにその人に力量があってもその力量が半分も伝わらないことになる。そしてそれにはある程度の楽器と弓が必要になるのだ。これはどうしようもない事実。逆に私は仕事でそんなに力量はないのなだけれどパトロンやスポンサーのおかげで素晴らしい楽器&弓を持っている奏者の演奏を聴く機会も多くあります。その際”楽器がいいなあ”とこれまた本当にすぐ分かるのです。

私は運良く10代の終わりに今使っている楽器にばったり出会い、上には上があるもののとても良いチェロに恵まれました。しかし弓に関してはあまりご縁がなく現在使っている弓に不満を抱えつつ現在に至っています。楽器がなんの苦労もなくある日突然目の前に現れ手に入れることが出来たので、弓に関しては少々おっくうになっていました。そして私の望む弓がそんなに簡単にみつからないであろうことも、その額もそれなりのものになるであろうことも想像できたので今まで手つかずにいたのですが、今回ようやくその重い腰をあげ弓探しの旅に乗り出しました。

私の理想の弓は強さとパワーがありしかもしなやかさに品、エレガンスを備え、かつ健康でバランスがよくレスポンスの良い弓。これに自分の知らない世界を教えてくれる弓であればもう言う事なし。しかし、私はもうこの”運命の弓”には6年前に出会ってしまっているんだな。。。あれは忘れもしない2007年の夏。ひょんなことでロンドンの楽器屋さんを訪れていたときにその弓はたまたまその時にそこにあり、たまたま試したまでだったのですが、これが私の最初で最後のピンときた弓。しかし、お値段聞いてびっくり。身分不相応であるのもさることながらとても手の届く値段ではありませんでした。その弓はその後すぐ目の飛び出るような値段でオークションで落札され現在著名なチェリストが使用しています。

楽器はオールドイタリアン、弓はオールドフレンチ。これが王道。楽器も状態の良いものでオールドイタリアンは年々減って希少価値から値段もどんどん上がっています。これが弓になると消耗品であることからどんどんこの反比例度が加速して状態が良いもので使えるオールドフレンチしかもチェロの弓自体が非常に数少なくなっています。この数年のオールドフレンチチェロ弓の値段の上がり方は半端ではありません。

そして私の予算は2007年運命の出会いを果たした弓の落札額の半分にも満たない額。。。しかも、私はもう最高の弓の味を知っちゃったのでそれが弓を試す時の自分の指針になってしまっているわけ。ああ、知ってるって不幸。知らなきゃこれでもあれでも良いかな、と思ってたかもしれないのに。ロンドンの楽器店に勤める友人に「ねえ、私の予算で本当に”これだ!”なんて弓みつかるの??」と駆けずり回っている挙げ句に気に入ったものがみつからなくて泣きたくなった私は聞きました。そしたら彼女「これだ!っての、みつかります」って。切羽詰まった私はそのとき「じゃあ、そんな弓どこにあるんだよお!」と半なき状態で彼女に訴えたものです。それに私は”これだ!”ってのにもう出会っちゃったんだよぉぉぉ!!!で、もうそれ、違う人のところに行っちゃったの!!

弓探しの旅、まだまだつづく。。。

# by Shinko_Hanaoka | 2013-06-03 19:02  

ロシア

4月だというのにロンドンは真冬のようで今日も雪が散らついています。昨日モスクワツアーから帰ってきました。この季節にモスクワの方が暖かいというのも変ですが実際あちらの方が今暖かいです。加えて北国というのはその気候に備えて暖房システムや建物の構造も万全ですから、それらが中途半端なロンドンなんかから比べるともう住居、ホテルの中が常夏のように暑い!

私はロシアがとても好きです。飛行機でロンドンから3時間半。2度目のロシア。こんなに近くにこんなにも違う人々や社会があるのはなんとも不思議。ここより逆に4時間ちょっと飛行機で南下するとこれまた別世界のエジプトがあります。交通の便がよくなりテクノロジーも発達し世界狭しと言われるようになりましたが、やはり世界は広いと思う。

世の中均一化が進み、ホテル一つとってみてもいわゆる先進国と言われる国に行くとどこも一緒。家具もレイアウトも何もかもどこも一緒で面白味がない。均一化っていうのはほんとにチープだな。その点ロシアはチープではありません。勿論最近台頭してきたロシア人ニューリッチ層のことを言っているのではなくロシアの文化のことです。今回のホテルは薄型テレビ以外に今風のものは一切なく一つ一つの調度はそれなりに年期が入っていそうなものばかりであったけれど、全然チープじゃない。世の中お値段はチープじゃなくてもチープな感じになっているものはたくさんありますから。

壁紙やカーテンのチョイス。それだけでは薄暗いのだけれど、ものすごい素敵なガラスの小さなシャンデリア。そのチョイス、それらの仕上げの仕事の丁寧さ。テイストということはこういうものだと思う。テイストがあるということが魅力があるということだと思う。そのテイストにもピンキリはあるがまずはテイストがなければ魅力は生まれない。ロシアのテイストは素晴らしい。魅力的であることは素晴らしい。

ここで生活するのは大変だと思うけれど、ね。

# by shinko_hanaoka | 2013-04-05 00:34  

2月

月に一度はブログを更新しようと思いながら、2月が終わってしまいました。今年の新年の抱負は”ワクワクすることをする”。プラクティカルなものとしては“仕事量を減らす”。

1日の時間は24時間、1週間が7日、1年が365日。当たり前のことではあるけれど時間には限りがあります。ということはプライオリティを考えなければ人生はあっという間に終わってしまう。ハムスターのようにただただトレッドミルの上を走り続けて終わるのも一生、半分昼寝をしながらのんびり過ごすのも一生、あれもこれもと欲張りながらいろいろなことを詰め込むのも一生。どんな生き方でも良いけれど、人生半ばを過ぎ始めた今、どうせ同じ時間を使うのなら自分の好きな事に費やしたいと強く思うようになりました。そのために一番必要なのは時間。そして1日24時間しかないことが決まっているのなら、いらないことは排除していかなければとめどなく流されていくものです。

気力というけれど、気力は体力がなければついてきません。何かをしよう、何かをしたいな、と思うには元気が必要で、元気であるためには休養が必要で、元気になったとたんに意欲は湧いてくる。そして意欲が湧いてきたら、今度はやりたいことのために時間を作る。健康でいるにも何かをするにも時間が必要なのです。

ということで、新しい人生の選択が入ってこれるスペースを作るよう、たんすの整理をするように不要なものは捨て、流されそうになりながらも不必要と思われる仕事には果敢にノーと言う!パッションを感じないものにありったけの時間と体力を費やすには人生は短すぎる。2月はあっという間に過ぎてしまったけれど、今のところ7、8割くらいは新年の抱負を遂行できているかな。。。よしよし。

# by Shinko_Hanaoka | 2013-03-01 04:28  

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。今年はチェロなしで新年を家族と日本で迎えています。昨年は1月1日からアメリカツアーが始まったためクリスマス、お正月はロンドンで過ごしたので2年ぶりの日本のお正月です。今回は銀座界隈を歩く機会が多く、改めて日本の食文化の多様さ、豊かさには驚かされました。海外在住組は少なからず外国生活の気楽さを好み、そこに住み易さも感じていると思いますが、今回海外生活20年あまりの中で初めて日本に住み易さを感じました。私のように初めから半分規格外のような者には日本という国はときに息苦しく、ときに面倒くさいことの多い社会のように映ってきました。でもそれは逆に日本の良さであり、故に日本である、ということでもあるのだと思います。私は結果的にすっかり部外者になってしまいましたが、その部外者から見て日本は確かに住み易い。心理的に住み易いかどうかは大人になって住んでみた事、この国で社会の一員として働いた事のない私には解りませんが、生活面では大変良い。これは日本の突出した特徴のような気がします。

そんなことを感じながら過ごした年末年始休暇もそろそろ終わりに近づき来週にはロンドンへ戻ります。昨年は5ヶ月間怪我のためにお休みだったので、皆からどんな心境の変化があったのか、と聞かれます。実際は自分でも拍子抜けするくらい私のライフにも心境にも大きな変化はありませんでした。でも、このつかの間の”人生の夏休み”は微妙な軌道修正のチャンスを与えてくました。大きな軌道修正とはこんなゆっくりとした小さな流れの変化から始まるのかもしれません。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。新しい年が皆さんにとってたくさん幸せが詰まった1年となりますように!

# by shinko_hanaoka | 2013-01-03 12:00