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その他諸々 on the day off

昨夜は短い1時間コンサートを1時間の休憩をはさんで2度弾く(それぞれ違うプログラム)、というコンサートがロイヤルフィルのホームであるスローンスクエアにあるカドガンホールでありました。コンチェルト1曲に交響曲1曲×2で全部違う曲4曲。その前の晩はこのコンサートのスポンサーである実業家が我々全員をドーチェスターホテルの自分のレストランに招待して、ディナーパーティーがありました。それにごまかされて我々はすっかり良い気分になっていましたが、はっきり言って2度のコンサートを1回分のfeeで弾かされて全然お得じゃなかったじゃん、ということに後から気がついたちょっとおバカな結果でした。おまけに2つの交響曲は両方ともシューマンで普段の我々のレパートリーでは全くない上に、2回分コンサートをたった3時間の当日リハーサルで済ませようというものだから、その出来といったらもう*&^%$£@!?//+。そしてそれをやらされている私たちはもう必死どころではなく、瞬きする間もなく目を皿のようにして楽譜に食いついて舞台に立っていたのでありました。それで、私はふと”あー、そういえばまだ仕事を始めて間もないころは毎日がこんな感じだったなぁ”と妙な懐かしさを感じました。

ロンドンのオーケストラの仕事の仕方は過酷であることが有名で、またそれ故に非常にプロフェッショナルな仕事人集団であることも世界に知られています。しかし、オーケストラで弾くことに慣れておらず、またその大量なレパートリーにも馴染みの少ない初心者たちには本当に厳しい環境で、かつて初心者だった私も毎日が過度の緊張と過度のアドレナリン放出の連続でした。なにしろ毎日毎日全く違うプログラムを当日の3時間リハーサルだけで舞台に乗せられるのですから。そして毎日コンサートをしているということはその日のプログラムを事前に個人練習する余裕もほとんどないということです。ロイヤルフィルに入って最初の3年はほんとに大変でした。。。毎日舞台の上で弾きながら頭の中では”えーっ!!!!”、”Oh my God..."の連続。なんて言ったって3時間前までは聴いたことも、弾いたことも、見たこともなかった曲を舞台でなんとかそれなりのレベルで弾いてこないといけないわけです。本当に毎日崖っぷちのサバイバルです。ま、道理であの時期毎日身体の具合が悪かったわけですね。3年くらいするとだいたい一通りのレパートリーを憶えてきてそこまで毎日慌てなくても済むようになりますが、昨晩は久しぶりにそんなやばやば感一杯のコンサートでした(それもメンバー全員が。。。)。

その前の晩のドーチェスターでのパーティーはなんと言っても天下のドーチェスター。ということで一見の価値はあるかと思って行ってみました。ロビーのカフェやバーなんかもなかなか良かったですが、パーティーの後に行った隣のホテルのバーでも思いましたがお金で買うことのできる豊かさは本当に限られているということ。勿論人間皆きれいな場所に行くことや住むこと、おいしいものをいただくことや良いものを身につけることは気持ちのよいものですが、それそのものはそれ以上、以下にもなり得ないことをそれなりにお金のある場所にいくといつも認識させられます。

そして今日は久しぶりのオフ。4月に入ってロンドンはすっかり春です。天気がよいので近くのリージェンツパークに散歩に行ってこよっかなー!

by Shinko_Hanaoka | 2009-04-09 07:34 | オフ  

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