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ほんとの、夏休み

季節は変わりロンドンはすっかり秋ですが、8月の終わりに南スペインの海沿いリゾート地マルベイヤへ夏休みに行ってきました。5月の終わりから毎日が日曜日の私には特別ホリデイに行く理由もありませんでしたが、夏が終わる前にいわゆる“夏”というのを味わいに、いざ、海の夏休みへ! なんやかんやといろいろな場所へ行っていますが全て仕事や勉強関係で、振り返ってみるにつけホリデイなんてものには子供の時以来行ったことがありませんでした。しかし、ホリデイを侮ってはいけない。

何をやるのでもなく毎日ただただビーチで日光浴をしていただけの1週間でしたが、日常を離れるというのは大事なものです。ビーチで寝そべっていると、様々な人たちが前を行ったり来たり、それを見ているのも非常に楽しい。ロシア人の家族、スペイン人の家族、イギリス人の家族、東欧圏からの人たち、フランス人も少し、そして老いも若きも。特にロシア人はたくさん。それぞれの家族の在り方なんかを見ているのがとても面白かったです。私たちが泊まったホテルは滞在型のホテルで毎年来ては長い人で1ヶ月もステイするそうです。一日の終わりに日が暮れ出すと、家族みんなで十分遊んだ後に浮き輪や遊び道具を引きずりながら家へ(ホテルの部屋)へ帰っていく光景をみて、懐かしい気もちにもなりました。

ベートーベンの交響曲”田園”の一番最後の最後、あと20秒くらいで終わるという最終ページの後ろから5段目(チェロパパート譜だと)くらいのところで、急に静かになって非常にシンプルな主題のメロディーが戻ってくるところがあります。4種類の基本和音の上に本当にシンプルなメロディだけがあるその数小節のあとに最後お祭りのような大団円となってこの曲は終わるのですが、ロイヤルフィルの先代主任指揮者Daniele Gattiがここに来た時”ここは一日が終わりに近づき家路につく夕暮れ時、ああ、今日も良い一日だった、と。そういう感じなんだ”と言って、その瞬間に団員全ての人が同じ温かさと懐かしさを感じ、一種の感動をもって共感したものです。その時、なににつけドンピシャな彼の感性や才能に改めて感じ入ったと共に、彼もそんなことを感じることがあるのかと(彼は自分の音楽に本当に賭けているので、悪い意味ではなく人を人とも思わないようなところがある)、新鮮な気持ちを憶えました。なんの関係もなさそなマルベイヤの海とベートーベンの田園。しかし、人生で大事なことは結局こんなことなのかもしれない。毎年夏がくると夏休みに行ったり、時期がくる家族を持ってみたり、意味があろうがなかろうがそういうことを繰り返し繰り返しするのが人生なのかな。

というわけで全てに遅咲きの私は40歳にしてホリデイに開眼し、帰って来た瞬間から次のホリデイを楽しみにしているのでした。みんな道理でホリデイ、ホリデイって騒ぐわけだ。だって、楽しいもんね、やっぱり。

by Shinko_Hanaoka | 2012-09-21 07:03  

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