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アート

今日は半年ぶりにBBCに仕事に行きました。今年に入ってから何度かお声はかかっていたのですが、スケジュールが合わず先送りになっていました。

BBCには仲良しのチェリストがいて今彼女のこれまたチェリストのご主人のCD(今日借りて来た)を聴きながらこのブログを書いています。7年ほど前彼のウィグモアホールでのリサイタルのときに聴いた彼の作品”Tintin組曲”(フランスの漫画”ティンティンの冒険”をテーマにした組曲)が印象深く常々もう一度じっくり聴いてみたいと思っていました。長い話を割愛すると、50代前半の彼はとても優れた才能を持つチェリストながら、いわゆるビジネスマーケットに乗っておらず、しかしながらそんな現実状況にもめげず日々自分の芸術制作活動に励んでいます。このCDでも彼の感性が光り、私はなんだかとても励まされるような気持ちになりました。我々職業音楽家はこの職業で生きて行く為に多かれ少なかれビジネスマーケットにのらなければいけません。それは世界の一流歌姫から一つの団体であるオーケストラ、ソリストも音楽教師も皆一緒。でも、アートってそのものはごはんの足しにもならなければ、商売のようにお金を生み出す物でもない。衣食住に関わる物でもなければ、生死を左右するものでもない。でも、そのいわば”なんの足しにもならない”ものに途方もない時間と情熱をかけて作っていくものがアートだと思う。そういうアートって昨今あまり見かけないけど。皆、生きるのに必死、ビジネスマーケットに乗るのに必死。私自身そういう世界にまみれて生きているから、その大切さも十分わかる。でも、アートってそんなところとは関係ないところにあるもので、それが何かの足しになるから、とか何かのためになるから、とかそういうところから始まるものじゃないんじゃないの?と思う。結果としてそれが何かの足しになったり、何かのためになることはあっても。で、私はそういうアート(&アーティスト)に出会うと、それが絵であろうと、音楽であろうと、建築であろうと、涙が出そうになるほど心が熱くなる。そしてそういうアートは私の心をどこか彼方の全く別世界へ連れて行きます。夢やイマジネーション、感性ほど現実的ではないのにこれほど価値のあるものって他にあるかしら、と思う。そしてこんなに生活のためにもならないものが、ここまで人の心にとって必要な栄養、太陽のようなものであること自体にもびっくりします。

そして、今は泥まみれでも、このまま生きることだけに必死になって人生を終えたくはない、いや、終えてはいかん、と思うのです。。。

by shinko_hanaoka | 2010-06-12 05:56  

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