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ビッグニュース(私にとって。。。)

ジャジャジャジャーン。ツアーやらなにやらですっかりご報告遅れましたが、とうとう弓を購入しました!メーカーは7年前泣く泣くさよならした弓と同じ作者、それとは違う弓ではありますが巡り巡って私の所へ流れ着いてくれました。

実はこの弓一度4月にちらっと見た事があったのだけれど、そのときの値段はとにかく予算外もいいところ、おまけに弓探し第一日目だったため相場値段等知識も不足、またそういう数字自体にも感覚が慣れていなかったため興味はあまりなくちょっと見せてもらっただけでたいして試しもせずその弓はその日の午後ドイツへ渡ってしまったのでした。それから6ヶ月あまりの間に試した弓の数23本。全て由緒正しい弓ではありましたが、どれも気に入らず。最後の方にはたいして気に入りもしないのにこんな額のお金使う事はないわ、もういらんいらん、などと思い半分どうでもよくなっていたところ、例の夢の弓を7年前に売ったオークション会社プライベートセールス部門からメールが舞い込みました。”4月にお見せした弓、値下げすることにしました。気に入ると思います”。

この半年”〜〜が入りました。見に来てください”と言われて心躍らせ勢い勇んで見に行きトライしてみてがっかりしたこと数知れず。そういうプロセスに疲れ期待もなくなっていた頃、めんどくさいけどせっかく言って来てくれたから顔出しとくか、程度にそのオークション会社に出かけて行った9月の終わり。7月に検討した結果手放した弓もニューヨークから戻って来ていて(私がいらない、と言ったあとアメリカのクライアント(チェリスト)が購入したかったそうだが、彼お金が集められなくて戻って来たそう)、それももう1回試したかったらあるよ、とのこと。それはね、もう興味がない弓だったんだけれど23本の中では一番良い弓ではあったから比較するのにいいかな、と思って訪れた日その弓も用意しておいてもらいました。着いてからパッと試して”あ、こっち(7月に手放した弓)はいらない。でもこっちは興味ある。もう少しちゃんと試させてもらえる?”と言ったら”オッケー。でもこれ値下げして以来見せたのは君が初めてで木曜にはニューヨークのクライアントに送ることになってるから3日間しか貸せない”と。”わかった”。とは言うもののツアー出発直前でもう全然時間がないわけ。トライするって言ってもずっと仕事で時間がなく、結局トライできたのはその日帰宅後の2時間だけ。で、いいなとは思ったけれどこちら側としてはいろいろチェック事項とかもあるわけです。とにかく時間のない中で最低限のチェックを済ませ”興味があるなら水曜の夜までに書面で正式なオファーをしてくれないと木曜にアメリカに送っちゃう。このアメリカの2人のクライアントは春にもこの弓見ていて気に入ったんだけれど、値段が少し高すぎるっていうことだったから今回ニューヨークに行ったら多分戻ってこないかも”なんて言われて、慌てて条件付きのオファーを水曜夜に提出。それからしばらく交渉やら何やらでツアー中カタールからもファックスのやりとりを続け、かなりのストレスではあったものの値段&条件が最終的に上手くかみ合い、ツアー中カタールから日本に発つ直前に交渉成立。とは言うものの弓探し当初の予算より倍近くで文字通り清水の舞台から飛び降りるつもりで、というより飛び降りて貯金全部はたいて購入した私にとっては一世一代の買い物。たいしてトライもしないでほとんど即決したから多少の心配はあったけれど、でもね、ロンドンに帰って来て弓を手に取って初めて落ち着いて弾いてみたらほんとにしみじみ”It's worth every single penny"って思った。涙が出るほどいいなと思った。

この弓から出てくるバイブレーションは感動的です。アートとは素晴らしい。この弓はツールではなくてアートです。

# by Shinko_Hanaoka | 2013-11-04 22:56  

BBCアジアツアー

ご苦労様なこってある。

6月、7月とロイヤルフィルとアジアツアーに行ったばかりですが、9月、10月はまた似たり寄ったりな行程で今度はBBCとアジアツアーに行って参りました。11月にはリサイタルのために日本に帰るし、12月にはロイヤルフィルでまた中国に行かなくてはいけないし、1月はアメリカツアーだし、本当はこの時期にまた3週間のアジアツアーなんてやりたくなかったのである。しかし、あわよくば(!?)BBCに転職もいいかなと密かに思っている私は、せっかく誘っていただいたので行く事にしたのでした。以前はBBCオケの仕事の仕方はお役所仕事みたいで物足りないようにも思いましたが、月日が経つにつれ私のプライオリティーも変わって来て、彼らの労働条件のよさやツアーの少なさも魅力になってきた今日この頃。時々お世話にはなっているものの別のオケで仕事を持っているためそうそう頻繁に行くことがなかったので実際どんな感じなのか知る為にも良い機会だと思い参加しました。

”所変われば”ではないけれど”会社かわれば”で、日程の組み方から移動の仕方、スケジュール表に書いてある内容までロイヤルフィルとは全然違う。ロイヤルフィルはスケジュールなんておおまかなことがざっと書いてあるだけで、出たとこ勝負あとは自分で勝手にやってくれ、みたいな感じですがBBCのスケジュール表は至れり尽くせりであらゆる注意事項やら現地情報やらワクチン情報やらが載っている。33ページにわたるスケジュール表が配られたときにはびっくらした。というか、こんな伝染病のことなんか知らないで6月もうすでにアジア行っちゃったんですけど、という感じであった。スペアの弦や松やにも現地調達が難しい場所もあるから多めに持って行くように、とかなんだか幼稚園の遠足みたいなのりで初めこそ調子が狂ったけれど、長旅のあとにはちゃんとフリーデイがあったりリハーサルが十分あったり、こうやって労働条件が守られたところで仕事するのはやはり良いものである。3週間のツアーに出るということはどこのオケでもその期間働きに出るわけで、いくらBBCといえどそう楽をしているわけではないのだけれど、ほんの少しの違いが体の負担に大きな違いが出てその体の負担の違いが仕事のクオリティの違いにも出てくるのである。特に歳を取ってくると、ね。ツアーから帰って来たあとの疲労度も全然違うのである。ロイヤルフィルはロイヤルフィルの良さがあるけれど、そろそろこういうのも良い。私が気に入ったからといって仕事がふってくるわけでもゲットできるわけでもないが、とりあえずここ、気に入った!皆、割と静かでおとなしめなところもなかなかよろしい。

ということで、こういう発見、確認ができて意義ある旅でありました。そして、あっという間に日本です!

# by Shinko_Hanaoka | 2013-10-24 19:49  

スイスツアー

毎年夏の終わりロイヤルフィルはスイスのジュネーブ湖畔にあるMontreuxという街で開催される音楽祭に参加します。財政難で来年からは呼んでもらえないそうだけれど。。。

少し前まで私の中の主任指揮者のデゥトワに対する評価は前主任指揮者ガッティに比べると低いものだった。でも最近私はいろいろな意味で彼を見直している(エラソーな言い方ではあるが)。人間千差万別で性質や特質も違えがものごとへのアプローチの仕方も違う。デゥトワはデゥトワでその良さはある。そしてなんと言っても76歳であれだけ精力的に活動しているのはただ者ではない。彼の良さはリハーサルの仕方だとか完成させるまでのアプローチだとかいろいろあるのだが、全く関係ない角度から一つ、一流の良いソリストを連れてきてくれる、というのがある。彼にはそういった人との繋がりを上手に使い、また活かせる才能もあるのだろう。

今回のソリストの一人はマルタアルゲリッチ。ソリストとして演奏することが少なくなっている彼女の生のソロ演奏なんてもう見ることはないのかな、と思っていたのでちょっとびっくりしました。彼女の音楽、演奏は本当に尊い。信じられないレベルのテクニックというのは周知の事実だけれど、それ以上に彼女の音は特別な音をしている。音楽に心が向いている人はこういう音を出すのだろう。インターネットやipadやiphoneにまみれた世界とは違う世界の音。現代の音楽家はこういう音をほとんど出さない。すごく有名で一流と言われていている人でも多くはこういう音じゃない。現代の演奏家の音はもっとざわざわしている。彼らは何かがすごかったりすることもあってそれだけ聴いていると気づかないけれど、こうやって超越したものを聴くと他の音がいかに雑で荒っぽくて時に心がどこか違うところに向いているかわかる。

今の時代genuineに生きるのは難しい。心があっちを向いてみたりこっちに向いてみたり、あれが気になったりこれが気になったり。だからアルゲリッチみたいに、とどのつまり音楽のことしか考えていない人から出てくる音は尊いのだと思う。

でも、genuineに生きるのが難しいのは現代に限ったことではない、か。それが出来る人はどの時代でも稀なのかも。アルゲリッチから出てくる音楽は稀すぎてどこがどうなって、なんのコンビネーションでああいうものが出てくるのか本当に不思議である。

# by Shinko_Hanaoka | 2013-09-13 04:25  

11月28日(木)トッパンホールリサイタル

ブログサイトの脇ですでに宣伝させていただいていますが、改めて秋のリサイタルをお知らせさせていただきます。

11月28日(木)夜7時飯田橋トッパンホールにてリサイタルを開きます。オーケストラもやりながらようやるな、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが私の性格の特徴の一つに”しつこい”というのがあります。そう、良くも悪くもしつこい。なので、今年もやるのであります。そしてプログラム内容も果敢に挑戦するのであります!

前半プログラムはオリジナルがチェロのために作られた作品ではない2曲を選んだので、どちらもチャレンジですがシューベルトのアルペジョーネソナタはそれは名曲です。また後半のグリーグのソナタはかれこれ20年前カナダでの夏期講習会先で聴いた今は亡きハーヴィシャピロの演奏が忘れられず、いつか弾きたいと思っていた作品でした。カレンダーの11月28日(木)に今から赤丸をつけて、ご友人お知り合い皆様お誘い合わせの上ご来場くださいませ。

詳細はカノン工房(www.atelier-canon.jp/, Eメールoffice@atelier-canon.jp,電話平日11時から17時03−5917−4355)までお願い致します。チケットは9月2日(月)よりカンフェティ(カンフェティ割引ご利用可能)、トッパンホールチケットセンター(トッパン会員割引可能)、カノン工房(シンコチェロフレンズ会員割引可能)でお求めいただけます。尚11月30日(土)、12月1日(日)の週末は新宿御苑のマエストローラ音楽院(www.maestrora.jp/)でレッスンを行います。レベルに限定はありませんのでご興味のある方はこちらにも是非ご参加ください。

それでは6日間のスイスツアーへ行って参ります!

# by Shinko_Hanaoka | 2013-09-04 04:42  

プロム

今年もプロムの季節がやってきました。先週のロイヤルフィルのプロムのプログラムは前半がストラビンスキーの”花火”にペンデレスキーの”3本のチェロのためのコンチェルトグロッソ”、後半がドビュッシーの“海”とラベルの”ダフニスとクロエ組曲2番”でした。前半のプログラムは知らない曲だけれど、なかなか良いプログラムじゃない?なんて一人で勝手に思っていましたが、良いプログラムでした!中でもペンデレスキーのコンチェルトグロッソはすんばらしかったです。

3人のソリストは2人がLeonard ElschenbroichとDaniel Mueller-Schottの若手(多分2人とも20代)で残りの1人が72歳のArto Noras。3人ともすごく上手だったけれど中でもノラスは圧倒的に素晴らしかった。若いというのはお肌がきれいだったり、エネルギーがあったり特権づくめのようだけれどそれだけでは太刀打ちできないものが年齢をいった演奏家の演奏にはある。そこに在る、そしてそこに全ての真実がある、という代物はむしろ歳をとったものの特権だと思う。ただし、これはひたすらたゆまぬ努力をし続ける人たちだけに与えられる特権ではあるけれど。こういう人って本当にすごい。昔10代の頃ノラスの演奏を日本で聴いたときにはなんとも思わなかったけどね。私も全くわかっちゃいなかった、ということです。

ペンデレスキーの素晴らしい演奏が終わったあと聴衆からはフツーな反応が返ってきました。ここは割れんばかりの拍手がきてブラボーの嵐がきていい所なんじゃないの???!!!一応音楽を生業としているものの私だって別によくわかっているわけでもないし、現代音楽が好きってわけでもないけど良いものは良いとわかる。例えば大自然にふれて感動するとか、そういうのは理屈ではなくて感性の問題なんじゃあ??と、一応フツーに大きな(ロイヤルアルバートホールが立ち見も含めて満席なのだからフツーに拍手がきても十分大きいことは大きい)拍手の中舞台に立ち挨拶しながらシラーっとしてしまった私でした。まあね、エルガーの威風堂々が好きな気持ちも分かるけれど、なんかこういのってつまらん、わ。

でも私的には前半も後半も素晴らしいプログラムでした。ノラス、4年間くらいみっちり教わりに行きたいです。。。

# by Shinko_Hanaoka | 2013-08-23 02:04