春は移動、新学期の季節ですね。今日は去年の4月からお預かりしていた17歳の高校生の生徒さんのイギリス生活最後のレッスンでした。彼女はお父様のロンドン赴任に伴い去年の4月イギリスに来られて当初数年のイギリス生活を予想されていたのですが、急にお父様のお仕事がまた日本となり急遽帰国と相成りました。

初めてレッスンにいらしたときいかにも頼りない16歳で”大丈夫かいな”という気がしないでもなかった彼女が1年経った今、活き活きと自分の考えを話しチェロを弾いている。自分の強い意志で渡英したわけでもない中、成り行き上いろいろ問題に行き当たり決断しなければいけないことにも何度か直面し、そのときそのときを乗り越えてたった1年で人間ってこんなに変わるんだなあ。彼女の顔つきもチェロも1年前と全然違う。日本での先生から”厳しく基礎を教えてください”と託されたにもかかわらず実際私は彼女の現地校の寮生活等も含めほとんどチェロのヘルプが出来なかったけれど、人間変わるときは変わる。人の可能性、力はすごいなと思う。Inspiringです。

人って不思議。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-04-02 02:32  

ある日

今日はショスタコービッチのチェロコンチェルトの録音第2日目。ソリストはそれは素晴らしいストラディバリウスを使用していて、テクニックも音楽性も揃いとても上手だった。そのレコーディングの話しを友達にしたら彼女が”上手だった?”と聞くので”うん、すごい上手だったよ。でも心に響く瞬間は一度もなかった”。あれだけ素晴らしく弾くのでさえ難しいのにエラそーに言えたものでもなく、又こんなことを言うのは酷だとも思うけれど、現代の演奏家ってこういうタイプが多い。テクニックもあり、音楽性もあり、情熱もちょうど良いくらいにあり、全部の要素が揃っているはずなのに”で?”みたいな感じ。

そしてその晩、我が家のリビングでテレビがつけっぱなしになる中それをバックグラウンドに所用を済ませていると、急に耳に入って来た歌声が。”これは、なんだ!?”と、思わずガバッと身を起こし画面に魅入ってしまいました。なんのテレビをやっていたのかも知らない程度で、聞いてもいないものがいきなりそれだけ聴こえてくる、というのはやはりただごとではない。それは、アカデミー賞の中継でJohn Legendという人がCommonというラッパーと Gloryという歌を歌っていたという事実を知ったのは後のこと。突然心を掴まれた歌声にびっくりして聞き入ったそのときは、ジョンというのが誰なのかも、これがなんの歌なのかも、これが映画の歌だということも、なんの映画なのかということなのかも全く知らなかったけれど、聴きいってしまった。

私は聴くならこういうのが聴きたい。

ちなみにその後に歌っていたレディーガガはこの人こんな歌(ミュージカル)もこんなに上手に歌えるんだとびっくりし又感心もしたけれど、心にまでは響かなかった、です。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-02-25 00:13  

明けましておめでとうございます!

遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。

今年も忘れかけた頃に(!?)ブログ更新させていただきます。金魚さま、忘れかけない頃の更新目指します。。。!

年末年始帰国から戻りやっと時差ぼけが治ってきたと思ったら明日から1週間のアメリカツアーでまた時差ぼけです。まるで太陽と追っかけこをしているように西へ西へと移動し永遠に眠気に襲われる気配であります。

さて、今回の年末年始帰国では我ながら日本を離れて長くなったな、と実感しました。かれこれイギリス生活20年、その前のアメリカ生活2年を含めると人生の半分以上を海外で過ごし、それも大人になってからの時間のほとんど海外、言い訳ではありませんがそれは日本語も汚くなるはず。と、これは家族に指摘されたこと。そして言われてみると、ごもっとも。気をつけなければ。

日本は私にとって知っている母国であり家族を含めたルーツでありながら、同時になんだか少し遠い外国のようにも思えた滞在でもありました。こういう風に感じたのは今回初めて。長く時間が経つというのはこういうことなのかな。ずっと自分の中にあって今でもどこかにあるはずのものが知らないうちに時間が経つことによって風化されていくというような不思議な感じ。例えば日本人が外国に行くとかってがわからず言葉もわからず自信もって行動できない光景を見るけれど、または外国人が日本に行くとこれまた逆にかってがわからずでも丁寧にしようと思って行動しよう、と思ったりする。日本にいる自分はそんな感じだな、とロンドンに帰って来て思う。自分の国なのに自信を持って行動出来ない、というのも妙なものだけれど。そして私の血の中で記憶しているルーツと、全く違う生活のあるここにいる自分の狭間で現在ゆーらゆら振り子のように揺れております。

明日アメリカそれもフロリダなんていうまた全く関係ないところに行ってしまえばそんな不思議ちゃん感覚もスッコーンと忘れちゃうのかもしれませんが。ま、それも、C'est la vie〜です。

今年は東京でのリサイタルやその他にもいろいろなことができたらいいな、と思っております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

とりあえずフロリダ、行って参ります!
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-01-13 03:24  

12月

気がつけば師走。あっという間にクリスマスです。一昔前は12月ともなると飽き飽きするほどのクリスマスコンサートがあったものですがご時世のせいかその数もだいぶ減り、今年のロイヤルフィルのクリスマスコンサートはヘンデルのメサイアコンサートを抜かすと7回だけ。その3回がすでに終わりました。コンサート内容はトラディショナルなクリスマスキャロルに加え、クリスマスにちなむ曲目、そしてポピュラーなものまで含め、お話やクリスマス抽選なども入れて2時間半くらいの構成です。同僚はクリスマスコンサートというとまだシーズン始まる前から辟易感を出しますが、私はこういう季節ものは結構好きです。弾く回数にもよりますが。

昨日のロイヤルアルバートホールでのクリスマスコンサートではプログラムの終わりの方に”きよしこの夜”があって妙にジーンときました。以前この定番クリスマスソングはあまり好きではありませんでしたが、さすが定番だけあってなかなか名曲である。昔私は幼稚園は近所の教会の牧師さんやその奥様、教会の先生達で成り立っていたそれはそれは楽園のように家庭的な幼稚園に通っており、私の人生の黄金期はあそこだったと言っても過言ではないのでありますが(随分早くに人生のピークが来たとも、思う)、毎年クリスマスイブには園長先生(牧師さん)を先頭に教会の方々数名が教会に来る人たちの家を周り、ろうそくに灯をともしそれぞれの家の前でクリスマスキャロルを数曲歌い次の行き先に去ってゆく、ということがありました。それは彼らが私たちに祝福があるようにとひっそりと行われていたもので誰かが聴いているからとか、それを見たり聴いたりしたら参加しないといけない、とかそんなものでは全くなかったのですが、私は楽しみにしていたものです。私が幼稚園を卒業しても続けられていて、毎年クリスマスイブの夜には夜9時過ぎくらいから外の物音に耳を澄ましていたものです。このクリスマスキャロルとサンタさんが来る、というのがクリスマスの定番であった私にとっては、なんと言っても気づかないうちに彼らが歌い過ぎ去ってしまっては一大事ですから。何度も外をチェックしたりして、まだかなまだかな、と思い、もう今年は来ないのかな、と思ったくらいに微かな歌声が外から聴こえてきて、コートを引っ掛けて急いで外に出て私も一緒に寒い夜空の下でクリスマスキャロルを歌ったものです。

そんなことを昨夜きよしこの夜を弾きながらふと思い出しました。人生大事な事はたくさんあるが、まあ、こういうことがやはり一番大事なことなのかな、と思う。良心に囲まれて生きる、ということ。そうでないと自分自身が良心になるのも難しいからね。この季節になると恒例行事としてでもクリスマスコンサートに来て、そんなことを皆が思い出すのも悪くないと思う。そういう私はクリスチャンでもなく、幼稚園時代にはむしろその教えや教会そのもの等に3歳児ながら懐疑的であったりもしたのだが。。。!

ロンドンの日本人向け週間新聞Japan update weeklyの12月11日付け発行紙”イギリスに暮らす”欄に私のインタビューが載りました。ウェブサイトはwww.japanupdate.co.ukです。お時間ありましたらご覧ください。

今年もいつ途絶えるともしれないブログにお付き合いくださいましてありがとうございました。皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。
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# by Shinko_Hanaoka | 2014-12-13 01:16  

あっという間に秋

夏はロイヤルフィルが静かだったのでひとしきりBBCで仕事をした後8月の終わりに休暇でホリデイへ。その後9月も比較的のんびり過ごし、いざ怒濤の10月へ。

今月はデゥトワとのスイス、イタリア、オーストリアツアーで始まりました。ソリストの一人は私の大好きなアルゲリッチ。今回も素晴らしかった。何度も言うようだけれどあの人は天然記念物&世界遺産です。彼女みたいな人、現存の演奏家で思い当たらないな。あの人がそこに座って弾き始めると、そこにいる人たち全ての愛が彼女一点に注ぎ込まれるのが見える。世界中から愛が注がれているのがわかる。彼女の技術や音楽性というのは今も昔もすごいのだけれど、歳をとってますます本質そのものだけが見える。命というのは魂である。彼女そのものを見ていたら泣きそうになった。こんなギフトのような人がこの世にはいるのだな。。。

夏の終わりにロイヤルフィルマネージングディレクターから発表があり来年6月をもって彼は引退、新しいマネージメントに変わるとのこと。このオーケストラの命運はマネージングディレクターにかかっていて、彼が長年船長を務めてきました。船長次第では船員全員路頭に迷う、というのも決して大袈裟な話しではない現状で団員は今から戦々恐々としています。

クラッシック音楽界もずいぶん様変わりして来ていて、今まで通りのやり方で仕事をし続けて行くのは難しくなっています。アルゲリッチのような人も近い将来この世界からいなくなり、演奏者も聴衆も世代が変わり、耳が変わり、感覚が変わり、いろいろなことが変わっていくと思う。

我々は仕事柄よく飛行機に乗りますが、その際私は機内誌の最後にある世界地図を見るのが大好きです。同じ世界地図を何度見ても飽きません。今回のツアーから帰ってくるときもそれを眺めていたとき、各国の国土面積の違いに改めて驚きました。ロシアや中国の大きいこと。アメリカもブラジルも南アフリカも大きい。インドやオーストラリアもなかなか大きいな。そしてそれに比べるとヨーロッパ各国は小さい。そして言うまでもなく日本の小さいこと!世界地図を見るとわかるけれど、日本の国土面積は本当に小さい。そんな中地理的にも極東でぽつんと離れた島なのに今までなんとか国際社会で地位を築いてきた日本というのはかなりユニークな国だな、と思う。

ロイヤルフィルは十年一日のごとく同じような仕事の仕方で同じような内容の仕事をしているけれど、私は常々こんなんいつまで続けていられるのかな、と正直思ってきた。あーあ、私もこれから残り半分の人生どう生きるかっていう問題があるけれど、ロイヤルフィルもそろそろ考えないとまずいんじゃないの?と思う今日この頃で、あります。
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# by Shinko_Hanaoka | 2014-10-14 01:33