何故に?

先日はサバティカルのご報告させていただきましたが、また何故にサバティカルを取ろうと思ったかと言いますと、、、先上ればなんやかんやと言って”サバティカル、取りたいと思い、早や7年”、字余り。というわけで別に今始まった願望ではなかったわけです。ただタイミングやら踏ん切りみたいなものがあって、今になりました。考えてみれば、自分勝手にやることが得意な私がこの完全なる集団生活でよく頑張ったと思う。まあそれも、ロイヤルフィルの団員皆さんの寛大さや労働条件はかなりのレベルできついにも拘らずなんとなくゆるゆるなオーケストラ体制にもあったと思います。じゃなきゃ、この私がこんな長く続けていられたはずがない。とは言え、体力面等いろいろな意味で向かないことをしてはいたのは事実なので来るべくして来たサバティカル、という感じでしょうか。

普通サバティカルを取る人はなんらかの計画やら目的があったりするのですが、相変わらず私は計画なし、展望なし、ついでにたいした貯金なし!でも、要するにいい歳をしてこういうのが性に合っているんですな。誰かが決めたスケジュールを永遠にこなしていくのは(スケジュールがあることは大変ありがたいことではあるが)、向いてないんである。私が、決めたいんである。やりたいことも、時間の使い方も、人生の種類も。

小さな形でも自分のresourseを使い生きている限り関わることの出来る仕事、誰かと何か共有することの出来る仕事が、したいと思う。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-10-06 19:56  

Sabbatical!

大変お久しぶりです!ブログがいつにも増して(!)中断してしまったのはコンピューターが壊れてしまって、さっさと新しいものに買い替えようと思っていたのですが親切な友人が”そんな無駄なお金を使うことはない。自分が直す”と言ってくれたのをいいことに二人でのんびり時間のあるときに会っては修理していたら結局2ヶ月くらいかかってしまったというわけです。でも、おかげで散財せずには済んだ.....今のところ。それに加えて夏は働きすぎて具合が悪くなっていたことも、ある。

さて、何故具合が悪くなるほど皆がホリデイに行っているような夏に働いたかというと.....ジャジャジャジャーン!!9月からサバティカルをとることにしたからです。

サバティカルというのは(日本の会社にそういうシステムがあるか又はあっても機能しているかは知りませんが)勤続7年するとある程度の期間休職することができるというシステム。サバティカルの間に普段の職場から離れて違うことをするのです。多分大きな会社だとある程度お給料を支払ってもらえるのかもしれませんが、ロイヤルフィルは普段からお給料制ではなく働いてなんぼ、の世界。とりあえず休職1年後も私の席は確保されていますが、収入はゼロ~になるわけです。というわけで備えあれば憂いなし、貧乏性の私はとにかく片っ端から仕事を入れて働きました!!で、半分病気になっていれば、意味ありませんが。。。

とは言え、一時的過労もそれなりに回復し1年間のサバティカルがスタートしました!今日はそのご報告であります。サバティカルライフについてはおいおいと。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-09-29 01:06  

Pete Townshend

昨夜は大スターロックグループ"the Who"のPete Townshendを迎え彼が作曲したクラシカルロックオペラ”Quadrophenia"のコンサートでした。ロックやポップスの世界に疎い私はthe Whoというのが何者なのかも全く知らず、いつも通り仕事に行ったわけですがパートナーに話したら"the Who"と言ったらそれはすごいレジェンドだから写真一緒に撮ってもらってこい、とまで言われました。と言われても私は知らないので、ステージの上でも彼はすぐ隣でギターを弾いていたり歌ったりしてたものの、写真は撮ってもらいませんでしたが。

このコンサートは他にも数人のシンガーが出演しましたが久しぶりに純粋に楽しいコンサートでした。お客さまにここまで心から望まれて、その場でここまでおおいに楽しんでいただけて、これぞ音楽を介して人が集まる意義だと思う。こういう交流が職業であるPete Townshendのような人は幸福だと思う。こんな喜び味わっちゃったらもう他のことなんて出来ないよね。彼らを見ていてそんな気がした。幸福な人生。

クラシックのコンサートはなかなかこういうシンプルで根本的レベルでの交流がない。だからおおかたのものは残念ながらつまらなくなってしまう。。。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-07-06 23:01  

ハッキング事件

2週間ほど前のある朝自分のEメールアカウントがスッカラカンになっていました。ふと電話の着信を見てみると母からで留守電にはメッセージを聞いたらすぐに連絡するように、とのこと。こちらの変な時間帯に実家から電話がかかってくることなどないので、私はまた家族の誰かの身に何かあったのかと思い心配して電話してみれば、なんのことはない自分のことだったわけ。後からよく見てみるといろいろな人からハッキングされてるよ、と知らせてくれるメッセージが入っていて、ロイヤルフィルからも身元確認の電話がかかってきました。なんでもどなたか心配してわざわざロイヤルフィルのオフィスに私の無事確認のお電話くださったとのこと。そして後々わかった事ですがこの方はメールでハッカーと何度かやり取りまでしてくださったらしく、最後のところで本人しか知らないようなことを聞くと答えがトンチンカンだったなので、ご安心くださったようです。

私自身はアドレスからメールから全て乗っ取られて何もなくなり何が起こっているのか知らなかったわけですが、皆さんには私から”A sad news"というタイトルで”トルコに来ていて大変な目に遭ってお金から何から全て失くしたので至急送金して欲しい”という内容の迷惑メールが届いたらしい。以前に私も友人がハッキングに遭って同様な内容のメールをもらったことがありますが、なんとなく変だと思っても多少気にはかかるもの。特に最近の情勢であの辺の地域は物騒だというイメージもありますしあながちウソでもなさそうな気もしてきます。

Eメールアカウントプロバイダーに手伝ってもらいながら修復作業しましたが、その過程でハッカーが勝手に自分のアドレスを入れてそこに自動的に全て流れる設定にしてあったことが発覚。道理でパスワードを何度変えてログイン出来ても、何も私の手元には入ってこず空っぽのままなわけです。昔は伝達手段やコミュニケーション手段が直接会うか、手紙か、電話か、くらいだったのが生活全般テクノロジーに頼る現代はそれがなくなってしまうと結構慌てるものです。ズボラかつテクノロジーに疎い私は当然バックアップなるもの一切なし、他のアカウントもなし。一瞬”どーしよう”とも思いましたが、その一瞬後には”ま、いっか”と思っている自分もいたりして。どちらにしても、ハッキング恐るべし。

その数日後今度は友人から私に”A sad news"が届き、なんでも彼女もトルコで追いはぎに遭ったらしい。ハッカーの間ではトルコが流行ってるのかね。

ちなみに私、8月には仕事でほんとにトルコ行きまーす。お知らせ、まで、、、
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-05-25 00:58  

ピンカスズッカーマン

昨夜は我がロイヤルフィルはロイヤルフェスティバルホールでズッカーマンをソリストに迎えベートーベン田園交響曲を含めたエルガーのヴァイオリンコンチェルトの夜でした。

このコンサートの一連は先週マンチェスターから始まり地方を周り、最終日が昨夜のロンドン。我々はズッカーマンのことをピンキーと呼ぶのですが、このピンキー今回が実は近年のロイヤルフィルとの共演でソリストのみとしての登場は初めて。彼は最近指揮者としても活動していてどちらかというと本人はヴァイオリン弾くより指揮の方がしたいらしい。が、指揮というのは当然ながらただ棒を振っていればよいというものではない。そして当たり前のことながらヴァイオリンを弾くことと指揮をすることは別物なのである。な、の、に、彼は指揮をしたいの。。。そして、ヴァイオリニストとしてはあんなに素晴らしいのに指揮をするといきなり音楽愛好家みたいになってしまうのである。これ、オケにとっては結構困りものなのだけれど、指揮させてあげないとヴァイオリン弾いてくれないのだから仕方なく(!)いつも指揮者兼ソリストとして来てもらうのである。それが、今回は堂々ソリストのみとして登場。我々もとても楽しみにしていました。

リハーサルでも最初の一音目から”おおぉっ”といういつもの血肉したたるジューシーな音。この人の音って100キロくらい先からも一発であ、ピンキーが弾いてる、ピンキーの音だ、とわかりそうなくらいそれは独特な音なのだ。が、途中からなんだかしつこすぎて半分飽き気味にならんわけでもない、くらいな調子でリハーサルは終わり地方公演も終わり、以前エルガーを一緒に弾いたナイジェルケネディの方がよくない?くらいなことを同僚と話しながらであったのだが、昨日のロンドン公演、やはりただ者ではありませんでした。多分この人ロンドンでは相当すごいだろうな、と予想はしていたものの本当に凄かった。

彼のすごさはここ一番というところでレベルを格段に上げてくるところ。彼はここ一番がどこだかよく知っていてそこで120%を出す術を知っている必殺仕事人である。腕一本で何十年にも渡って世界を渡り歩いて来た凄みである。そして、彼はそれを遊び心を持ちながら楽しくやるのである。これ、この人の素質だね。今年67歳になる今でも疲れ知らずで飛び回る彼のキャリアはこの性格的素質によるものも多いと思う。こういう人を見ていると才能って本当にすごいな、と思う。人間得意なことで好きなことをするとこんな素晴らしい人生&キャリアが待っている、という良い例ですな。もともと得意なことをやっているからいろいろな意味で一番近道ができてしかも性格的にも合っていることだと基本的に楽しい。だから80%も120%も自由自在。で、こういう人の80%は普通の人の100%をはるかに超えているので全く問題ない。おまけに120%出すときにでもこういう才能のある人は余力がある上に出してる120%なのである。そういう人の音楽は夢があって楽しいね。

マンチェスターでリハーサルの合間に私が耳栓しながら(オケはとにかくうるさいので隣でトランペットとか練習されると耳がおかしくなるから私は結構耳栓していることが多い)携帯電話をいじっていると後ろから聞き慣れたドヤ声が聞こえてくる。無視しているとその声はもっと近づいてきて”このホール何人入ると思う?”と大声で誰か言っているので”うっるさいなあ”と思いながら振り向くと、ピンキーが私に向かって何度も”このホール何人入ると思う?”と、聞いているのである。仕方なく(ピンキーはどこでもかしこでもヴァイオリンをガーガー弾くのと同じくらい誰彼かまわずしゃべりまくっている人物で、面倒なので(!?)普段は私はなるべく話しかけられないように目を合わさないようにしている!!)耳栓をはずし”はあ?”と言うと”だからあ、このホール何人入るの?”。テキトーに”知らない。6000人くらいじゃないの?”と答えると”ふーん。で、来るの2人とかだったりして。がはは”と向こうが嬉しそうに言うのでまたテキトーに”それってあなたと私?”と言うとその自虐的コメントがお気に召したようで一層嬉しそうにげらげら笑いながら、またガーガーヴァイオリンを弾き始めていました。そんなわけでこの人、全然気を使わなくてよい人です。一言で言うと機嫌の良い大きな赤ちゃんという感じ。

エルガーのヴァイオリンコンチェルトはかなりの大曲です。昨夜そんな大曲演奏中にたまたま私がふと顔を上げた瞬間に向こうもたまたまこちらに顔が向き目があった際、いつもの人懐っこい温かい顔でニコッと笑ってウィンクしてきたときには本当にびっくりした。これ、50分難曲の長丁場最終5分くらいの場所でそれも最後の山場、カデンツァに入る直前ですよ。普通そこら辺はすごい集中力がいるところで、おまけにもうそのあたり青息吐息か最後の力を振り絞って、くらいな勢いでもおかしくないはずなのにそこで子供みたいに笑ってウィンクだからね。ただモノじゃない。

最初から最後まで素晴らしい完成度、素晴らしい音楽、素晴らしいスピリットそしてグッと魂を掴む音。どこからも文句のつけようのない50分でした。


※このズッカーマンのエルガーのヴァイオリンコンチェルトは当日BBCラジオ3によりライブ録音放送されました。BBC Catch Upへグーグルから行きそのサイトのRadioをクリックすると番号が出てくるのでその3(Radio 3の意味)をさらにクリックすると画面にPerformance Miraclesというセクションが出てきます。それを押すとエルガーのヴァイオリンコンチェルトがみつかるはずで5/13まで聴くことができます。ご興味のある方はよろしければどうぞ。約50分とちょっと長いですが、圧巻です。
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# by Shinko_Hanaoka | 2015-04-15 23:59