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オーディション、オーディション....そしてサラ チャン

今月は3回にわたりチェロ首席奏者を募ったオーディションが行われました。
オーディションを受けることはあっても審査するのは初めて。それも首席奏者ということで期待を持って望んだのですが、結果は残念ながらかなり失望しました。

まずソロピースであるコンチェルトを冴え冴えと弾く人がほとんどいない。コンチェルトがまあまあでも次にオケの曲を弾かせるといきなりリズム音痴になったり、はちゃめちゃになる人続出。書類選考の結果30人ほどに絞りそのうち20人はすでに聴きましたが、このポジションに該当する人はひとりも見つかりません。そのうち審査している我々の多くが”このまま誰もみつからなかったらどうしよう。。。”気分に陥り始め、誰をトライアルに残すかという判断基準がだんだん下がり始める始末。オーディション3日目の最後の方には皆が妥協し始めているのにも嫌気がさし途中で”とにかく私はいいものが聴きたいんだ!何でもいいから目を離さずにはいられないようなものが見たいんだ!”と私が言い放ったら、同僚の一人ダニエルがすかさず”そういうの今までの中にいたか!?”と私に問い返し、直後全員が”NO!!”と言ったにもかかわらずなんとなくの流れで妥協が生じ、多数決の結果3人ほどがトライアルを与えられることになりました。

ああ、こういうmediocre(中庸又は中途半端)な世界ってほんとにイヤだわ!と思いながら翌日のコンサートのリハーサルが始まりました。このコンサートのソリストはサラチャン(ブルッフのヴァイオリン協奏曲)だったのですが、これも期待を裏切りdisappointing。最初はオーディションであまりにもmediocreな演奏ばかり聴きすぎて、サラチャンまでmediocreに聴こえてきちゃっているのかな?とも思いましたが、翌日のコンサートに来た友人達にも不評でした。

”秀でる”というのは稀なことなんだとつくづく思います。それが多少変な方向でもとことん”秀でた”ものを見たい、と思うのは私だけでしょうか!?

変な人、面白い人、素晴らしい人、優しい人、丁寧な人、細かい人、正確な人、早い人、トンチンカンな人、誠実な人、チェロが上手な人、お金の計算が得意な人、色気のある人、遊びの上手な人、パワフルな人、諦めない人。簡単なことではないけれど、自分も何でもいいから何かに“秀でた”人でありたいと思います。
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by shinko_hanaoka | 2011-04-24 01:31  

震災後1ヶ月

先月11日に起こった東日本大震災により被災された皆様、ご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。

地震のニュースは海外にいる私たちにも即座に伝わりました。地震が起こった時間はイギリス時間早朝であったため私はのんきにも夢の中でしたが、朝起きると携帯電話にいくつものメッセージやテキスト(日本で言う携帯メール)が残されており、なんのことかよくわからないまま実家に電話するも電話は通じず、東京の姉にも連絡がつかずで、ことの重大さを知りました。

それからの刻一刻という時間の流れの中での状況の変化や人々の様子は日本でその時間を生きた人たちが一番よく知っていることであり、外からみている我々が何かいうことではないと思いますが、昨今のインターネット等の情報ツールの発達により、遠く離れている我々にもかなりの速度と確かさで情報が回ってくることには非常に驚かされました。私は最近皆が普通に使うfacebookやtwitter等のコミュニケーションツールを一切使わないので知らなかったのですが、インターネットニュースを観ていると横にそういうものが随時出ていてこれらの人々に対する影響は多大なものなんだな、と思いました。震災後こちらでも多く行われている義援金チャリティコンサート等もこれらネットを通して知らせるものもたくさんあります。

遠く離れたイギリスでも人々はそれらのツールを通して皆とコミュニケーションをはかり、それによって情報を得たり又その過剰なコミュニケーションにより心穏やかさを失う人も多く見受けられました。ニュースのtwitterなどを見ていると、このような新しい情報交換手段によって命を救われるようなこともあったり、それぞれの短いつぶやきを読むと私にとっては目新しい世界でいろいろなことを思う人がいるんだなと、とても興味深かった反面、英語のverbal diarrhea(言葉の垂れ流し状態)という言い回しを思い起こさせれもしました。

人生の中で起こる様々なことに対してどう感じ、どう関わり、どう対処してゆくかは非常に個人的なことであると思います。私にとって人生のどの時点でもどんな状況でもただ一つ出来ることは自分の今を生きる事。それに尽きる。今日も家の近くのリビア大使館の前では人々がデモを続けています。そうかと思えばそのすぐ近くの公園では多くの人々が春のきらめくような太陽を謳歌しています。人の”今”はそれぞれによって違う。一人の人間にとっての”今”もそのときどきによって違う。

ロンドンは先週から初夏のような素晴らしい天気が続いています。花が咲き誇り、人々が笑っています。ロンドンの天候は変わりやすくうつろいやすいことを知っている彼らはこういうときここぞ!とばかり外に飛び出します。私たちはなぜか明日もあることを前提に生きていますが、明日の天気に保証のないロンドンのように、本当は誰の人生にも明日の保証も明日の幸せの保証もないはず。そう思うと、与えられた環境の中でベストを尽くし今を出来る限り幸せに生きようとする以外に、生まれた瞬間から死に向かいだしている私たちにはチョイスがない気がします。

最後にもう一度、今回の震災でご家族やご友人を亡くされた方々にお悔やみ申し上げると同時に、今も苦境にある被災者の方々の心に出来るだけ早く希望の灯がともる日がくることを心より願っています。
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by shinko_hanaoka | 2011-04-11 03:17