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仕事、いろいろ

昨夜はス❍❍キ❍のゲストプリンシパル指揮者として最後のロンドン公演がロイヤルフェスティバルホールでありました。さすがに最後というだけあって随分気合いを入れてムソログスキーの展覧会の絵を振っていました。あんなに一生懸命指揮している彼の姿を見るのは最初で最後だったかも。。。指揮者というのはオーケストラにとっては命みたいなもので、我々弾いている方は結局のところ手と技術の提供をしているだけであって、ブレインではありません。それをどう使うかは彼ら次第です。逆に言えば、我々に出来ることは非常に限られていてドライバーである指揮者がしっかりしてくれないことにはどうにもこうにもならないわけです。そういった意味で我々弾いている方は彼に失望させられることが多かったですが、最後は彼なりにとっても頑張っていたので、それは弾いている私たちにもお客様にも伝わり良いコンサートとなりました。ムソログスキーの展覧会の絵はよく知られている曲でお客様受けするのですが、私は個人的にはあまり好きではなくていつもなんのインスピレーションも湧かずに弾いているのですが、彼のは使い古された解釈と違ってなかなか新鮮で、テンポ設定や曲の構成の仕方で随分と印象が変わるものだな、とちょっと目からウロコ、でした。将来客演指揮者として迎えられるときも、彼には昨晩のあの意気込みを忘れないでほしいものです。仕事でもプライベートでもベストショットを打たなければ意味ないじゃないですか。それも彼らのように我々の100倍近くのギャラをもらっているのなら、尚更。。。!!

そして今日は一日アビーロードスタジオで録音。レコーディングはクラシックの委託録音からロイヤルフィル主催の録音、または映画、テレビの音楽録音、クロスオーバー又はポップアーティストのアルバム録音まで様々なものがありますが、そうした録音はコンサートのない日にスケジュールが組まれて行われます。今日はロイヤルフィルのCD録音でしたが、どういう目的なのかわかりませんが外の会社のファンディングで内容はポップス系。なんかバックグラウンドミュージックのオンパレードという感じのアルバムで、これ何に使うのかな、とふと思いましたが、コンサートの合間に入る全然違うジャンルの音楽録音は結構息抜きになります。ここ数日ですっかり初夏らしくなったロンドンですが、アビーロードスタジオの中庭にも陽が燦々と降り注ぎ、休憩の合間にはひなたぼっこしながら久しぶりののんびりモードで仕事。ロンドンのレコーディングスタジオはこのアビーロードに限らず、気分よく過ごせるようになっていてリラックスできます。おまけに朝からの録音も夕方5時には今日の収録分が終わり、久しぶりに普通の人になった気分でウキウキしながら帰宅。なんと言っても私たちは夜のお仕事、なかなか普通の人たちみたいにまともな時間に帰宅できません。こんなふうに夕方帰宅できるなんて、それだけでも私たちにとってはボーナスです!帰宅してもまだ5時半過ぎ。早速リージェンツパークに散歩に飛び出しました。いやあ、早く家に帰ってこられるって楽しいなー!!そういう明日はまた12時間労働の日ですが。。。そしてあさってからはまた数日移動、移動、移動、です。

明日は引き続きアビーロードでの午前中のレコーディングですが、そのあとすぐにスローンスクエアに移動。レコーディングと午後からのカドガンホールでのリハ+夜コンサートの合間に、今日新生活を求め日本からイギリスに上陸した友人MちゃんとそのパートナーG、そしてこれまた3ヶ月ほどまえに旦那様のお仕事の移動に伴いイギリス上陸なさったKさんと彼らの新しい門出を祝って(?!)ホールの近くでクイックランチ。最近いっきにロンドンに知り合いが集まってきてこれからロンドン生活が楽しくなりそう♡
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-26 09:36 | ロイヤルフィル  

ローマ男

昨夜は我々のホーム、カドガンホールにてアルベニスのスペイン音楽の夕べ。馴染みのないレパートリーでなかなか苦戦しました。。。後半は組曲からグラナダ、カディス、アストラス、エボカシオン、トリアーナ、マラガ、各地方にちなんだそれぞれのピース。よく消化されていれば興味深いのでしょうが、我々にとってはその地方の特徴がどこにあって、どこにそれぞれの違いがあるのかもよくわからにまま、なんか必死に弾いて終わってしまいました。隣の相棒とお互いに’明日のオフはちょっとまじめに練習しないと。。。’と言って昨夜はバイバイしたのであります。

そして今日は明日からまた10日間ほど続く仕事の合間の束の間の1日休憩。気分良く階下のキッチンでランチの支度をしていると、家に時々出入りするこれまたイタリア人のCがやってきました(イニシアルトークにしてみました。)。この人、むちゃくちゃ押しが強くてちょっと辟易するのですが、今日はいつもに増して強引。キッチンに入ってくるなりあの手、この手で私の気を引こうとします。まずは挨拶のキス。私がイヤそーにすると’君は挨拶のキスもしてくれないんだね’と来ます。それで、’日本では挨拶にキスはしない’と言えば、’じゃあ、君が挨拶にキスしてくれるようになるまでどのくらいかかるかな♡’といきなりすごい顔を近づけて言い寄ってきます。きっぱりと’最低3年はかかるな’と言ってそのすぐ後’とにかく私は失礼なヤツは大っ嫌いなの!’と言ってもものともせず、’でも君は僕のこの強引なところが好きなはず♡’、です。それで次にはいきなり、’それで、来週のデートのことなんだけど’と始めるので、私がまた半分キーッとなって’デートってなんのことだよ!!!’というと平然と’僕と君の’。デートのデの字も話したことない上に君と私は会ったのは今日でたったの2度目、それもたまたま偶然で!!!!! それなのに、’でもどっちかが決めないとさ、こういうことは’だって。でもそれはアンタが勝手に決めてるだけのことでしょ。。。 とにかくああ言えばこう言う、こう言えばああ言う、異様に至近距離に迫ってくるわで、終いには’とにかくほっておいて欲しいの!’と私が言っても通じているんだか、いないんだか。

’イタリア人はいつ死が訪れてもおかしくないという哲学を持っていて、だからこそ今日を生きる。自分の望みを先回しにはしない。それにイタリア男は自分の望みが何なのかはっきりわかっている’との賜り。聞きしに勝るラテン男です。。。

この家の住人に’イタリア男ってみんなあーなの?’と聞くと、彼ら曰くイタリアの中でも地方によって人々の特徴は全然違うそう。家の人たちは皆、トリエステ、ジェノアとイタリア北部出身でいわゆるラテンっぽいところはCに比べると比較的少ない気がします。彼らによるとCは典型的なローマ人。ローマの人間は皆あのように押しが強いっていうか、ちょっと傲慢というか、そういうキャラクターなんだそうです。そして皆それぞれの自分の地方のキャラクターに誇りを持っている様子が彼らの口調からわかります。ローマ人のこの気質は多かれ少なかれ長い歴史の中から生まれてきているのでしょうね。

さてと、そろそろ2時間煮込んだおいしいミートソースが出来上がるころかなー!

今日はこれから指圧整体のS先生のところへ行って気分が良くなった後は、友人映画音楽作曲家Y君が車で迎えにきてくれて彼とミーテイングと楽しみをかねたベトナム料理のディナー。これぞ正しい休日の過ごし方です!

PS ちなみに、最近この家の変さにも馴れてきていろいろなことがあまり気にならなくなってきました。馴れってコワい。。。
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-24 10:51 | オフ  

ドイツツアー & Credit Crunch

5泊6日のドイツツアーから昨日戻りました。今回のツアーは移動時間も平均的で特に大変ではなかったものの、やはり毎日4、5時間あまりの移動を続けながらリハーサルとコンサートを繰り返す毎日は疲労が蓄積します。特に大陸ヨーロッパではコンサート開始時間が遅いですから(ドイツは8時開始。イタリア、スペインにいくと9時または10時開始という場合もあります)、ツアー中は慢性睡眠不足、故に慢性疲労と戦いながら毎日の強行軍が続いて行きます。肉体的にはハードですが、ツアーに出ると普段の日常から全く遮断されるので精神的ストレスはその分ゼロに近いですが。その慢性睡眠不足、疲労を今日と明日のオフで回復させます! 昨夜は前の晩が睡眠時間3時間ということもあり、相当疲れていたようで12時間も寝てしまいました。。。!

さてこのツアーは去年から世界を騒がすCredit Crunchの影響が見られました。もともと8カ所でのコンサートが予定されていましたが、3カ所がキャンセルとなり、ツアーも短くなりました。その分経済的に大変になったのでしょう。ホテルもワンランク下がりかなりベーシックなホテルに滞在しました。それに加えオケの編成が小さくなり、木管セクションはいわば皆がソリストですからそこを削るわけにいかない分、しわ寄せは弦セクションにきてチェロセクションもマーラーだというのに8人だけで弾きました。マーラー5番チェロ8人は結構きついですよ。普通12人、最低でも10人ですから。かの有名な4楽章アダージエットはセクションが二手に分かれるのですが、あのトップラインのメロディを弾くのが私を含め、たったの4人。初めのコンサートではトップライン6人、ボトムライン2人でやったのですが、やはりどうにもこうにも下が弱すぎてバランスが悪かったので半々にすることに。花形のトップラインが4人というのは寂しい気がしましたが、結局それに落ち着きました。経済事情により弦セクションを削減するということについては先日のオーケストラミーティングでも問題になっていました。このような経済事情の中でオケの資産をどこに投入するべきか又はしないべきか、ということですね。ま、そんな世界事情が反映されつつも、ロイヤルフィルは常に笑いとユーモアの精神を忘れません。このCredit Cruchに関係なく、オケの存続をかけて常に戦っているロイヤルフィルの胸をはって世界に誇れるクオリティとは、この精神にあります!今回のツアーもご多分に漏れず様々な場面でへんちくりんな状況はたくさんありましたが、それも、いと可笑し、です。
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-20 09:04 | ロイヤルフィル  

チルドレンコンサート、マーラー、そしてドイツ

昨日は15時間労働の日で普通のコンサートに加え、チルドレンコンサートがありました。ロイヤルフィルには教育プログラムというチームがあり、普段から我々のコンサートとは別に様々な活動をしています。オーケストラのメンバーの何人かも音楽担当として常に参加していますが、このチームは普段はオケとは別個に活動しています。いろいろなプロジェクトがあり全国の学校と提携して取り組んでいるものや、刑務所や病院との提携など、様々。そして年に2、3度オーケストラ全体として関わるチルドレンコンサートというのがあります。このコンサートは必ず普通のコンサートがある日にプラスされるので、正直言って私たちは面倒くさい気分になるのですが、毎回やると楽しくってやる方も来た子供達、そのつきそいの大人達もご機嫌で終わるのです。ロイヤルフィルの教育プログラムチームは本当に素晴らしい人材が揃っていて、いつもこのチルドレンコンサートをやるとこのプログラムの充実度に感心させられます。1時間ほどのコンサートの中にはテーマがあり、それを音楽を通じて、耳で感じ、身体で感じ、目で感じ、心で感じ、身体の全ての感覚を使いながら自由に体験するようになっていて、想像力を刺激します。そんな様子を舞台から見ていると、結局人間って大人も子供も喜びや楽しさの原点って同じなんだな、と思います。普段大人はそれを隠してかなり大人のふりをしているだけで。そして子供の正直で素直な反応は毎回面白いです。そんな子供達の正直で素直なエネルギーは元気を与えてくれます。

そして今日はあさってからの5日間ドイツツアーのための7時間リハーサル。このツアーの指揮者はLeonard Slatkin。彼はアメリカ人ですので、ちょっと珍しいコープランドの組曲”アパラチアの春”なんていう曲も弾きます(私はコープランドってわりと好きですが、これ良い曲です)。今回のプログラムにはマーラーの5番が入っていて、ロイヤルフィルに初めてトライアルに来たときに(イギリスのオケにはトライアルというシステムがあってオーディションに受かっただけでは仕事をゲットしたことにはなりません。このトライアルという厳しく、場合によっては蛇の生殺し状態(!)のように長く続く試練を乗り越えたあとに栄光を得るのです!!)弾いた曲の一つです。それは幸か不幸かしょっぱなから過酷な3週間のGattiとのヨーロッパツアー。レパートリーは20曲にも及びその全てがマーラーやワーグナーなどハードなものばかりで、本当に緊張の連続で死ぬかと思ったことを憶えています。そのとき以外にもトライアルの一環で彼とは真夏のグラナダ、アルハンブラ宮殿内の野外劇場でもマーラー5番を弾いていて思い出深い曲です。Gattiの初めから終わりまで息をのむようなマーラーは素晴らしいですよ。近年ではオケのメンバーで私と仲のよかったSandyが3年まえ肝臓癌のため42歳の若さで亡くなったとき、彼女が亡くなる前の最後の数日ずっと聴いていたという、このマーラー5番の4楽章アダージエットを彼女のお葬式のときに皆で弾いたのが最後でした。それを思い出してアダージエットを弾き始めたら泣きそうになりました。。。

そしてあさってからドイツツアーです!
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-12 08:50 | ロイヤルフィル  

Oh my God...それからMatt

3月の終わりに引っ越してこのかた6週間新居ではまるでドラマの中にいるような日々を送っています。ころころ変わる状況、そして新たに次々と出てくるこの家の真実(?!)。私と、わけあって私とほぼ同時期に引っ越してきたジョンはこの家を”mad house”または”house of horror(恐怖の館!)”と呼んでいます。簡単に言うと、大家のフランチェスコは磨きのかかったcontrol freak(他人のことから何から全て自分のコントロール下におかないと気がすまない人)+どケチ+お金第一。パオロはそのフランチェスコにいじめられるがままなされるがまま、おまけに頭が半分おかしいんだか、子供なのか、とにかくわけがわからない。日中出入りするフランチェスコの息子リュークもわけのわからん信用ならんやつ。そんな中唯一まともな私とジョンは最近毎日午前中電話ミーティングまでするようになった始末。というのは彼は朝早くから会計士として普通のお務めで私は夜のお仕事(!)、なかなか家で会う機会がなく、おまけに家の中ではまともに話せないので、この家のことについては携帯メールでやりとりするか、彼の仕事先から午前中に電話がかかってきて話し合う、といういとも奇妙なシステムが成り立ちつつあります。私たちの到達した結論は一番のくせ者はフランチェスコ。極度のcontrol freakなため、普通それしたらまずいでしょ、というちょっと病気的行動もとります(無害ではあるが)。で、この人絶対なんか税金のこととかで怪しいことしてる! そして、我々の最も重要な結論はこの3ヶ月の契約が切れたら、とにかく逃げる!!! だいたいこんなこと考えてること自体まともじゃないよ、ですが。

なんていうところに、昨日の午後仕事に出かける前にランチをすませキッチンで後片付けをしているとドアのベルが。うちのドアはガラスの小窓がついていてお互い中の人も外の人も見えるようになっているのですが、ちょっとのぞいてみると郵便屋さんでもなければ、うちにはちょっと縁のなさそうな、バリッとした良いスーツをきた男の人が2人。私はといえばあらいものの途中で面倒くさかったのでゴム手袋をはめたままにらくちん部屋着、というかなりまぬけな格好で、なんか場違いな感じがしましたが、とりあえずドアを開けました。そして彼らの開口一番が”警察だがフランチェスコはいるか”。この6週間の奇妙な経験のせいですっかりこの家の全て、住人の全て(ジョンをぬかして)に信用を失っている私は”あー、やっぱり。。。!”と思い(何がやっぱりなんだか自分でもわからなかったですが、その瞬間そう思った)、返す私の開口一番は”Oh my God..."。私のびびり様をみて一人が”そんなに心配しないで。これが本当にヤバいことだったら僕ら朝の5時にくるから。。。!”と言い、それを聞いて妙に納得しましたが、それでも私がかなり”どうしよう。。。”という顔をしていたのでしょう。最後にも”大丈夫だから”という言葉を残して行きました。あいにくフランチェスコは不在で家にも私以外誰もいなかったので彼らはフランチェスコの携帯番号をとって立ち去りました。なんでも彼はどっかで写真をとっていたようで(写真は彼の趣味)、そのことについて質問だそうです。でもこの2人、ほんもののジェームスボンドばりで、鍛えぬかれたボディに仕立てのよい高級スーツ、てきぱきとした仕事ぶり、すごく格好よくて本当に全てが映画の中の007みたい。あんなにびびりながらも”うわー、あれって映画の中だけの世界かと思っていたけれど、実物も本当にこうなんだぁ”なんて思いました。人間ってヤバい瞬間におかれてもどこかで全然関係ない変なこと考える余裕みたいなものがあったりして変ですね。とにもかくにも昨晩遅く帰宅したら、フランチェスコはへらへらしていたので、まあどうってことなかったのかな、と少し安心しました。

外国にいると本当にいろいろなことがあります。。。って、この6週間のようなへんちくりんな経験はアメリカ生活2年、イギリス生活14年で初めてだけど。くわばら、くわばら。。。

さて話はかわってグラミー賞受賞サウンドエンジニアのマット。Y君と彼との3月、4月の映画音楽レコーディングのミクシングも全て終わり、出来上がりは上々。なんでもブラピの昔の映画”Seven years in Tibet"の音楽より(あの映画音楽ではヨーヨーマがチェロのソロを弾いています)良い出来だということで(ほんとかいな?ですが)、彼らも監督もかなりハッピーということでY君はもとより、マットからも電話がありました。

4月の2回目の録音のときは、彼らがシンガーとの録音もブルガリアでオケの録音も全てすませてきたあとで、それに私のソロをのっける形で録りました。そのときブルガリアの話がでて彼らが写真と一緒にいろいろな話をしてくれました。その際録音の仕方マイクの話なんかもしていて、夏の素晴らしい気候の中オーガニックフードでも食べながら山の中の修道院なんかでバッハとかチェロのソロで良い録音できたらいいね、なんていう話で盛り上がりました。その話はたまたまの流れでの話だったのですが、それは私の心に小さな灯をともしました。自分の心の中ではいつかこれを実現しよう、とその話が始まったとたんに静かに決まってしまったのです。私はマットのプロフェッショナリズムをとても信頼していてこういう人と仕事をしたら楽しいな、と思いました。今回の彼からの電話というのは実はそのことで、彼も私と一緒にCDを作りたい、とのこと。それで、実は私もあの話をどうやったら実現できるだろうと考えている、と告げました。それにはfundingが必要なわけですが、そんな話をしたら、君がそんなことを考える必要は全くない。それは君の仕事ではないし、君の実際の演奏を聴けば今までの君の蓄積が半端ではないというのも明らかで、君はとにかく演奏にフォーカスしてればよい、あとのことは自分たちでどうにかする、とのこと。ってそりゃあ、ありがたいお言葉だけど、実際どうするの?って思いますが(現実を知る者としては)、これが実際実現するかどうかは別にしても自分のやりたいことをサポートしてくれる人がいるというのは嬉しいこと。そして夢があるのって楽しい!そして私にとっての夢とは、純粋に私の望むことをするということ。それがサクセスするかどうかは二の次。そういうことが心に入ってきた瞬間に私にとってそれは夢ではなくなって楽しさがなくなっていきます。自分の心が楽しく、わくわくするようなこと、これからどんどんしていきますよ! That is, to me, the dream comes true.
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-10 10:26 | ロンドン  

アルゲリッチ

先週から今週にかけてはサバイバルモードでした。

21日(火)午前中パインウッドスタジオにて(007ボンド映画などが作られるところ)Y君と残りの映画音楽録音。
      午後ロンドンに急ぎ移動、午後リハーサル+夜2回のコンサート
22日(水)ロンドンにて一日中ロイヤルフィルのレコーディング
23日(木)22日に引き続き1日レコーディング
24日(金)ロンドンより北に車で4時間半(往復9時間弱!!)のHullにてコンサート。深夜2時帰宅。
25日(土)デュトワ(指揮)&アルゲリッチ(ソリスト)の日曜からのコンサートのため1日リハーサル(ロンドン)
26日(日)朝6時自宅出発、7時ヒースロー空港チェックイン、ダブリンへ。ダブリンにてデュトワ&アルゲリッチでコンサート
27日(月)朝6時30分ホテル出発ダブリン国際空港へ。お昼にロンドン着。ロイヤルフェスティバルホールへ直行。
      午後リハーサル&夜コンサート(デュトワ&アルゲリッチ)
28日(火)ロンドンから車で3時間のNottinghamにてデュトワ&ソリストが変わってジャンーフィリップ コラードでコンサート。深夜帰宅。

と、これがざっと1週間のスケジュールでした。こういうスケジュールに入るとサバイバルモードになり、自然に脳の中の必要でない電源は全て切るので意外とストレスではないのですが、肉体的にはやはりかなり疲労します。

さて、この中でのハイライトはなんと言ってもマルタアルゲリッチ。今期からロイヤルフィルの音楽監督はデュトワになりました。3年ほど前からデュトワに打診が始まりこの2年ほどはお互いの相性を試す意味でも何度か一緒に海外ツアーをしています。彼はものによっては良いものもありますが(フランスものなど)、ガッティのようにスペシャルなmagical momentを作れるタイプではあんまりないです。ただ、彼とアルゲリッチは元夫婦ということで、アルゲリッチがソリストとして招かれることがよくある、という極めて幸運な機会を提供してくれています。

特にダブリンでの彼女の演奏はセンセーショナル。一緒に弾きながら興奮して鳥肌が立ちました。誰にも手の届かないようなテクニック。彼女は現在68歳になりましたが、彼女のプロコフィエフはまるで最新の最高級スポーツカーのようなスピードと躍動感で駆け抜けます。そして言葉では言い尽くせないような彼女の音、ニュアンス。彼女の世界、持っている感覚はもう信じられないような夢の世界で、この世のものとは思えません。そういうこの世のものとは思えないことを普通にやっている彼女を眺めるのも大きな喜びで、彼女の弾いている姿をずっと見ているだけで飽きることがありません。このような才能はもう彼女自身の理解や認識もとっくに超えているところにあって、アンコールで彼女が一人弾き始めると会場は一瞬にして波打ったように静かになり、普段あちこちに散っている何千ものエネルギーがたった一点に注がれるそのパワーにも圧倒されます。でもその中で彼女は息をし、食べ、眠るという極めて普通なことをするのと同じようにピアノを弾いているだけ。ロイヤルフェスティバルホールのコンサートでは彼女が初めにゆっくり歩きながらステージに登場しただけで、すでに演奏後のような熱い、熱い拍手が皆から送られました。出てきた瞬間、子供が少しびっくりして半分嫌がるような表情をみせながら、それでもはにかんだ笑顔で”どうもありがとう”と小さく何度も言いながらピアノに近づいてゆきました。野生動物のような行動や仕草をする愛すべきマルタ。彼女のような人は世界の宝です。。。

追伸 Nottinghamでのソリストも悪くなかったですが、何しろ彼の弾いたラベルも前回私たちが共演したのが2年ほど前のアルゲリッチ。2楽章の彼女の夢のような世界があまりにも素晴らしすぎて、それに比べたらなんとも下界の音楽でした。。。
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-02 08:39 | ロンドン