カテゴリ:ロイヤルフィル( 8 )

 

Hampton Court Palace

今月から8月半ばまでは夏特有の野外コンサートが時々入ります。この夏第一番の野外コンサートは先週の土曜日にヘンリー8世で有名なハンプトンコートパレス。6月と言っても最近すっかり冬に戻っているイギリス。先週の土曜日はその中でも特に寒く家でも暖房が入ったくらいです。毎年この時期ハンプトンコートパレスでは音楽祭が開かれていて、我々ロイヤルフィルも参加します。コンサート会場の中庭は城壁に囲まれなぜかたとえ暑い日でも風が吹いていて妙に寒く、楽譜を洗濯ばさみで譜面台に押さえながら格闘が続きます。譜めくりの際には一人が洗濯バサミをはずしページをパートナーに渡し、渡されたほうがそのページをまた洗濯バサミで譜面台にくっつける。それをやっている間にめくり終わった残りのページにもう一方が洗濯バサミをつける。これを楽器を持って弾きながらやるのです。パートナーと息のあった連携プレーが必要で、上手くタイミングが合わないとあちこちで弾いていない人続出ということになってしまいます。でも、洗濯バサミをつけないと楽譜が飛んでいってしまい、必ず舞台のどこかでそういうことも起こっていて野外コンサートはそれこそなんでもありのステージになります。木管、金管の人たちはパートナーがいませんから、これを全部一人でこなすのでかなり大変。洗濯バサミつけはずしの時間がなくて失敗して半分ひじで楽譜を押さえながら吹いているような光景もみられます。でも、皆手一杯でだれも助けてあげられないのですが。

しかし、なんと言っても野外コンサートで一番私がイヤなのは寒さ。おまけにハンプトンコートパレスコンサートは社交の場でもあるので休憩が異様に長い(1時間半)!この8年ロイヤルフィルに所属して以来、夏の野外コンサートで寒くなかったためしがありません。先週の土曜も上は3枚も重ね着したその上にコートを着て、下もズボンに厚手のタイツに靴下そしてブーツをはいて挑んだというのに、ここは北極か、という寒さ。手はかじかんで感覚もないのにむりやり動かしているみたいな状況で、鼻の頭も凍り付くように冷たくなりました。プログラムはバッハの組曲第3番、ヘンデルのMusic For The Royal Fireworks(日本語名がわかりません。。。)、そしてビバルディの四季。名曲アルバムみたいなプログラムですが、どれもそれは名曲。これで天気でもよければ場所ともマッチしてなかなか良いのでしょうが、とにかく寒くて寒くてそれどころではない! そんな中でビバルディの四季のソリスト、デービッドギャ○ットは笑顔を振りまき頑張っていましたが。風がぴゅーぴゅー吹いていて、さすがにお城に燃え移るおそれがあるということで、最後の花火は中止。イギリスの夏なんて暑いことの方が少ないのにこういう催しが結構たくさんあって、来るお客さまは気にならないみたいです。イギリス人って変なの。。。

そういう明日も違うプログラムでまたハンプトンコートパレスです。今日の空も相変わらずグレー。明日も寒そう。。。地下鉄ストライクもそのままだし、長い、寒いで三重苦だわ。
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by shinko_hanaoka | 2009-06-11 03:05 | ロイヤルフィル  

スコットランド

先週は数カ所の地方コンサートの後に週末は2泊3日でスコットランド(仕事で)。土曜の朝6時に家を出て空路でアバディーンへ。そこからバスでさらに北西へ向かい、目的地のInvernessに着いたのは午後2時。前の晩も夜9時半までリハーサル、そして早朝スタートで着いた頃にはすっかり疲れきっていました。スーツケースを引きづり、楽屋に入り昼食をすませ3時半からリハーサル開始。その日の天気は眩いばかりの快晴。この時期には珍しく外の気温は27度。イギリス、スコットランド従来涼しい気候だったこれらの国のコンサートホール、または劇場は冷房設備の整っている施設が少なく、Invernessのシアターも冷房なし。特にステージはライトでかなり暑くなるので頭はボーっとするわ、それに疲労と睡眠不足が加わり、なんだか指もろくに回りません。それが気に入らなく指をブンブン振っていると、隣でも’なんか長時間フライトの後の時差ぼけみたいな気分。。。’と言っています。ま、確かに考えてみれば合計8時間の移動で、アメリカ東海岸にフライトしてるのと同じようなものですから。

ホールのすぐ隣にはネス湖に注ぐネス川が流れていて休憩の時間に川縁にすわってごはんを食べて少し英気を回復し8時からコンサート。最後のチャイコフスキーの交響曲5番を弾く頃には聴衆の体温とライトの明るさでステージ上は亜熱帯化しており、暑さで気が遠くなりそうでした。夜10時過ぎにコンサートが終わり外に出てみるとあたりはまだ明るく、ちょうど夏の夜気が漂い始め、あー、そうか、ここは地球の北、夏の夜は長いのね。ここからまた1時間のバス移動で宿泊先に向かいます。そしてあと1時間半もしないで今日が終わろうとしている、この時刻から私にとってのその日のハイライトが始まりました。Aberdeen空港からInvernessまでの景色もなかなか美しかったですが、Invernessから宿泊先のHighland地方へのドライブ中の景色は格別でした。夜の11時を過ぎてもこの北の空にはまだ光が残っていて、その薄明りの中に森、湖、川、丘が浮かびあがりまたその独特な空の色。それをじっと見ているとどこか違うおとぎの国にでもいるような不思議な気分になります。どの国にもその場所独特のエネルギーがありますが、私はスコットランドのこのなんともいえない包みこむように静かにたたずむ自由さと開放感が好きです。スコットランドのこのエネルギーはこのような自然の中だけではなくてグラスゴーのような都市にもあって、天気や季節に関係なくこの国にくると不思議と自分の中のエネルギーが活性化されます。リゾート地のホテルに着いた頃には辺りは暗くなっていて部屋の窓からは月が見えました。

次の日起きてみたら日曜も快晴。ホテルの水道水もこの地方のおいしい水で、自然の空気を吸いながら朝食をすませ11時にコンサート会場Perthに向けて出発。午後1時過ぎに到着。3時半のリハーサルスタートまで、また川縁でランチしながら、小さなデイジーが咲き誇る芝部に寝転がって空を眺めたり、他愛ない話をしながら小さなマーケットを散歩しアイスクリームを食べたり気分はすっかりホリデイ!24時間後にはロンドンの喧噪の中にいると思うと、むしろそちらのほうが非現実のように感じ、’ロンドンで毎日コマネズミにように働き自分は一体何をやっているんだか。。。’という想いが皆の頭をよぎった2日間となりました。Life can be so different if you wishです。。。

その日は夏の夜にふさわしいスイートでロマンチックなFinziのEclogueに始まり、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲、最後がブラームスの交響曲第2番と私たちにとってはプレッシャーフリーなプログラム。天気良し、食べ物良し、仲間良し、仕事良し、遊び良し。パーフェクトな1日となりました。 
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by Shinko_Hanaoka | 2009-06-03 09:01 | ロイヤルフィル  

仕事、いろいろ

昨夜はス❍❍キ❍のゲストプリンシパル指揮者として最後のロンドン公演がロイヤルフェスティバルホールでありました。さすがに最後というだけあって随分気合いを入れてムソログスキーの展覧会の絵を振っていました。あんなに一生懸命指揮している彼の姿を見るのは最初で最後だったかも。。。指揮者というのはオーケストラにとっては命みたいなもので、我々弾いている方は結局のところ手と技術の提供をしているだけであって、ブレインではありません。それをどう使うかは彼ら次第です。逆に言えば、我々に出来ることは非常に限られていてドライバーである指揮者がしっかりしてくれないことにはどうにもこうにもならないわけです。そういった意味で我々弾いている方は彼に失望させられることが多かったですが、最後は彼なりにとっても頑張っていたので、それは弾いている私たちにもお客様にも伝わり良いコンサートとなりました。ムソログスキーの展覧会の絵はよく知られている曲でお客様受けするのですが、私は個人的にはあまり好きではなくていつもなんのインスピレーションも湧かずに弾いているのですが、彼のは使い古された解釈と違ってなかなか新鮮で、テンポ設定や曲の構成の仕方で随分と印象が変わるものだな、とちょっと目からウロコ、でした。将来客演指揮者として迎えられるときも、彼には昨晩のあの意気込みを忘れないでほしいものです。仕事でもプライベートでもベストショットを打たなければ意味ないじゃないですか。それも彼らのように我々の100倍近くのギャラをもらっているのなら、尚更。。。!!

そして今日は一日アビーロードスタジオで録音。レコーディングはクラシックの委託録音からロイヤルフィル主催の録音、または映画、テレビの音楽録音、クロスオーバー又はポップアーティストのアルバム録音まで様々なものがありますが、そうした録音はコンサートのない日にスケジュールが組まれて行われます。今日はロイヤルフィルのCD録音でしたが、どういう目的なのかわかりませんが外の会社のファンディングで内容はポップス系。なんかバックグラウンドミュージックのオンパレードという感じのアルバムで、これ何に使うのかな、とふと思いましたが、コンサートの合間に入る全然違うジャンルの音楽録音は結構息抜きになります。ここ数日ですっかり初夏らしくなったロンドンですが、アビーロードスタジオの中庭にも陽が燦々と降り注ぎ、休憩の合間にはひなたぼっこしながら久しぶりののんびりモードで仕事。ロンドンのレコーディングスタジオはこのアビーロードに限らず、気分よく過ごせるようになっていてリラックスできます。おまけに朝からの録音も夕方5時には今日の収録分が終わり、久しぶりに普通の人になった気分でウキウキしながら帰宅。なんと言っても私たちは夜のお仕事、なかなか普通の人たちみたいにまともな時間に帰宅できません。こんなふうに夕方帰宅できるなんて、それだけでも私たちにとってはボーナスです!帰宅してもまだ5時半過ぎ。早速リージェンツパークに散歩に飛び出しました。いやあ、早く家に帰ってこられるって楽しいなー!!そういう明日はまた12時間労働の日ですが。。。そしてあさってからはまた数日移動、移動、移動、です。

明日は引き続きアビーロードでの午前中のレコーディングですが、そのあとすぐにスローンスクエアに移動。レコーディングと午後からのカドガンホールでのリハ+夜コンサートの合間に、今日新生活を求め日本からイギリスに上陸した友人MちゃんとそのパートナーG、そしてこれまた3ヶ月ほどまえに旦那様のお仕事の移動に伴いイギリス上陸なさったKさんと彼らの新しい門出を祝って(?!)ホールの近くでクイックランチ。最近いっきにロンドンに知り合いが集まってきてこれからロンドン生活が楽しくなりそう♡
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-26 09:36 | ロイヤルフィル  

ドイツツアー & Credit Crunch

5泊6日のドイツツアーから昨日戻りました。今回のツアーは移動時間も平均的で特に大変ではなかったものの、やはり毎日4、5時間あまりの移動を続けながらリハーサルとコンサートを繰り返す毎日は疲労が蓄積します。特に大陸ヨーロッパではコンサート開始時間が遅いですから(ドイツは8時開始。イタリア、スペインにいくと9時または10時開始という場合もあります)、ツアー中は慢性睡眠不足、故に慢性疲労と戦いながら毎日の強行軍が続いて行きます。肉体的にはハードですが、ツアーに出ると普段の日常から全く遮断されるので精神的ストレスはその分ゼロに近いですが。その慢性睡眠不足、疲労を今日と明日のオフで回復させます! 昨夜は前の晩が睡眠時間3時間ということもあり、相当疲れていたようで12時間も寝てしまいました。。。!

さてこのツアーは去年から世界を騒がすCredit Crunchの影響が見られました。もともと8カ所でのコンサートが予定されていましたが、3カ所がキャンセルとなり、ツアーも短くなりました。その分経済的に大変になったのでしょう。ホテルもワンランク下がりかなりベーシックなホテルに滞在しました。それに加えオケの編成が小さくなり、木管セクションはいわば皆がソリストですからそこを削るわけにいかない分、しわ寄せは弦セクションにきてチェロセクションもマーラーだというのに8人だけで弾きました。マーラー5番チェロ8人は結構きついですよ。普通12人、最低でも10人ですから。かの有名な4楽章アダージエットはセクションが二手に分かれるのですが、あのトップラインのメロディを弾くのが私を含め、たったの4人。初めのコンサートではトップライン6人、ボトムライン2人でやったのですが、やはりどうにもこうにも下が弱すぎてバランスが悪かったので半々にすることに。花形のトップラインが4人というのは寂しい気がしましたが、結局それに落ち着きました。経済事情により弦セクションを削減するということについては先日のオーケストラミーティングでも問題になっていました。このような経済事情の中でオケの資産をどこに投入するべきか又はしないべきか、ということですね。ま、そんな世界事情が反映されつつも、ロイヤルフィルは常に笑いとユーモアの精神を忘れません。このCredit Cruchに関係なく、オケの存続をかけて常に戦っているロイヤルフィルの胸をはって世界に誇れるクオリティとは、この精神にあります!今回のツアーもご多分に漏れず様々な場面でへんちくりんな状況はたくさんありましたが、それも、いと可笑し、です。
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-20 09:04 | ロイヤルフィル  

チルドレンコンサート、マーラー、そしてドイツ

昨日は15時間労働の日で普通のコンサートに加え、チルドレンコンサートがありました。ロイヤルフィルには教育プログラムというチームがあり、普段から我々のコンサートとは別に様々な活動をしています。オーケストラのメンバーの何人かも音楽担当として常に参加していますが、このチームは普段はオケとは別個に活動しています。いろいろなプロジェクトがあり全国の学校と提携して取り組んでいるものや、刑務所や病院との提携など、様々。そして年に2、3度オーケストラ全体として関わるチルドレンコンサートというのがあります。このコンサートは必ず普通のコンサートがある日にプラスされるので、正直言って私たちは面倒くさい気分になるのですが、毎回やると楽しくってやる方も来た子供達、そのつきそいの大人達もご機嫌で終わるのです。ロイヤルフィルの教育プログラムチームは本当に素晴らしい人材が揃っていて、いつもこのチルドレンコンサートをやるとこのプログラムの充実度に感心させられます。1時間ほどのコンサートの中にはテーマがあり、それを音楽を通じて、耳で感じ、身体で感じ、目で感じ、心で感じ、身体の全ての感覚を使いながら自由に体験するようになっていて、想像力を刺激します。そんな様子を舞台から見ていると、結局人間って大人も子供も喜びや楽しさの原点って同じなんだな、と思います。普段大人はそれを隠してかなり大人のふりをしているだけで。そして子供の正直で素直な反応は毎回面白いです。そんな子供達の正直で素直なエネルギーは元気を与えてくれます。

そして今日はあさってからの5日間ドイツツアーのための7時間リハーサル。このツアーの指揮者はLeonard Slatkin。彼はアメリカ人ですので、ちょっと珍しいコープランドの組曲”アパラチアの春”なんていう曲も弾きます(私はコープランドってわりと好きですが、これ良い曲です)。今回のプログラムにはマーラーの5番が入っていて、ロイヤルフィルに初めてトライアルに来たときに(イギリスのオケにはトライアルというシステムがあってオーディションに受かっただけでは仕事をゲットしたことにはなりません。このトライアルという厳しく、場合によっては蛇の生殺し状態(!)のように長く続く試練を乗り越えたあとに栄光を得るのです!!)弾いた曲の一つです。それは幸か不幸かしょっぱなから過酷な3週間のGattiとのヨーロッパツアー。レパートリーは20曲にも及びその全てがマーラーやワーグナーなどハードなものばかりで、本当に緊張の連続で死ぬかと思ったことを憶えています。そのとき以外にもトライアルの一環で彼とは真夏のグラナダ、アルハンブラ宮殿内の野外劇場でもマーラー5番を弾いていて思い出深い曲です。Gattiの初めから終わりまで息をのむようなマーラーは素晴らしいですよ。近年ではオケのメンバーで私と仲のよかったSandyが3年まえ肝臓癌のため42歳の若さで亡くなったとき、彼女が亡くなる前の最後の数日ずっと聴いていたという、このマーラー5番の4楽章アダージエットを彼女のお葬式のときに皆で弾いたのが最後でした。それを思い出してアダージエットを弾き始めたら泣きそうになりました。。。

そしてあさってからドイツツアーです!
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by Shinko_Hanaoka | 2009-05-12 08:50 | ロイヤルフィル  

地方公演

昨日は1週間ぶりの仕事で地方でのコンサートでした。我々は1日半と短いものから1ヶ月と長いものまで多くの海外ツアーを年間こなしますが、その合間にイギリス国内でロンドンはもとより各地方で忙しく演奏活動を行っています。昨日はロンドンから車で3時間半ほど北東に上がったLowestoftという港町でのコンサート。国内地方コンサートの際私たちは乗り合い馬車のように誰かが運転して何人かで一緒に同車移動(lift share)します。何故かというと、国内コンサートの場合日帰りがほとんどで、現地に電車で行ってしまうとコンサート終了後帰りの電車がなくてロンドンに戻ってこられなくなってしまうからです。で、なぜ皆でバスで移動しないかというと、皆住む地域が違うので1カ所を集合ポイントにするとかえって合理的ではないからです(夜遅くバスで帰ってきて集合地点が全然自宅と別方角だったりすると、そこから深夜どうやって家に帰るの?ということになるわけです)。ほとんどのロンドンのミュージシャン住居はロンドン南東部に集まっていますが、オーケストラの中で唯一中心部に住むスノッブ(!?)の私は誰もご近所さんがいないのでlift shareは結構頭がイタいです。移動が仕事の半分を占める私たちの仕事。Lift shareの人選も皆それなりに慎重で、お互い気分よく旅路を過ごせる相手を選びます。私がいつも一緒に移動するのは仲良しのジュリアンおじちゃんとアンドリュー、そこに時々ダニエルかビルが加わります。

昨晩はロッシーニやウェーバー、モーツァルトと簡単なプログラム。モーツァルトは交響曲ジュピター。モーツァルトのシンフォニーはどちらかというと編成が小さく、室内交響曲の部類に入るためロイヤルフィルのように大きなシンフォニーオーケストラは意外やめったにプログラムに取り入れません。Lowestoftのホールは小さめなので、オケも編成縮小してそれに見合ったプログラムが毎回立てられます。昨晩のジュピターは先月ロイヤルフェスティバルホールのマエストロGattiのそれとはエラい違いでしたが、それでもモーツアルトは、特にこのジュピターやはり良いです。。。キラキラして、最後の楽章なんかは弾きながら細胞が喜びに満ち溢れてきます(たとえそれが昨日のようなヘボい指揮者とでも。。。!)。昨晩演奏中モーツァルトの天上の世界を感じながら”うーん、秋のカルテットコンサートの選曲間違ったかな”などと考えていました。今秋我々ロイヤルフィルは9月後半から10月初めまで日本ツアーがあり各地を回ります。その際ロイヤルフィルメンバーによる弦楽四重奏の東京でのコンサートが別に企画されており(これも後日11月の私のリサイタルと一緒に改めてお知らせさせていただきます!)、その選曲がハイドンに始まって、ベートーベンそしてメンデルスゾーンで決定しました。私は個人的にはハイドンよりモーツァルトの方が閃きがあって好きなのですがバイオリニストの一人がこのハイドンを押したので。

地方公演では休憩が始まると、さーっと脇から昔の駅弁売りみたいなアイスクリーム売りが会場に登場して皆列を作って買い始めます。舞台の脇でそれが始まるので舞台上から今日はどんなアイスクリームが売ってるかなぁ、と眺めていたら後ろから同僚レイチェルが”今日はご褒美に私がシンコにアイスクリームを買ってあげる!どれがいいの?”と言うので、コーンつきのアイスクリームを彼女に買ってもらいぺろぺろしながら休憩を過ごし、さあ後半のコンサートを弾き終えたらロンドンに向けてダーッシュ!!!行きはジュリアンと一緒に来たのですが、彼は後半降り版だったので先に帰り、彼が自分の代わりといって探してきてくれたデービットが私をロンドンまで送り届けてくれることに。ただしデービットはロンドン北部在住なため私はそこから自力で自宅のある中心部まで戻らなくていけません。ジュリアンは南東部在住なので電車がなくなるといつも心配して遠回りでも必ず私を家まで送り届けてくれますが、通常誰とlift shareしても毎日皆深夜帰宅で疲れている中そんな親切なことはしてくれません。私も同じ厳しいworking condition下で働く者として必要以上に甘えるつもりは全くありません。で、私がとにかくなんとかしてロンドン中心に向かう地下鉄の最終に間にあいたいことを察し(そうでないと心配しながら怪しいMini Cabに乗るしか帰宅手段がなくなります。ロンドン郊外には安全なblack cabは走ってないので)デービットが車を飛ばしに飛ばしてくれて、12時3分前にロンドン北部の地下鉄駅に到着。とにかく中心部までいければこっちのもの、あとはどうとでもなります。一番困るのは郊外でおろされて路頭に迷うこと。でも、昨日はとにかくシンデレラの魔法がとける(!?)12時前に地下鉄に飛び乗り、あとはスムースにあっという間に12時半には家に着きました。ラッキー!と思っているところにジュリアンから心配して(というより多分責任を感じて)携帯にメールが入りました。”無事に帰れた?” 

こんな、”ロイヤル”とはほど遠い私たちの生活ですが、こうしてロイヤルフィルでは本当に人には恵まれて感謝です。
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by Shinko_Hanaoka | 2009-04-19 10:44 | ロイヤルフィル  

クラシカルスペクタクラー

今週は木曜からずっと連日連夜ロイヤルアルバートホールにて我々にとっては地獄(!?)のクラシカルスペクタクラーです。このコンサートは1コンサート約3時間で”あっ、この曲知ってる、知ってる!”といういわゆる有名どころな曲を集めて、お話、光の演出など交えながら延々3時間弾きつずける、というなかなか大衆的な企画です。

年に2回春と秋に必ずあるコンサートのシリーズでお客様には大変好評なのです。ロイヤルフィルの仕事はこうしたコマーシャル要素の多いものからスタンダードなコンサートまで多岐にわたります。一昨日、昨日、今日はマチネと夜とで毎日合計6時間コンサート。というわけで皆かなりばて気味ですが、今回のクラシカルスペクタクラーでは新企画としてチェロのあの有名な”白鳥”をオルガン伴奏バックに瀕死の白鳥をEnglish National Balletのプリンシパルダンサーがしつらえた特別舞台で踊る、といういかにもこのプロダクションが考えそうな演目が入っています。

見る前は正直”チープな演出。。。”と思っていましたが実際見てみたらすごく良かったです。企画自体はチープでもアーティストが素晴らしければ決して出来上がりはチープにはならないものなんですね、やっぱり。私は3メートルくらいのところから見ているのですが、細やかな手先、顔の表現、すくっと顔を上げてただ立っている姿、久しぶりにバレエを、それもこんなに間近にみてその磨き抜かれた美しさに約3分半、我を忘れてじーっと見入ってしまいました。今回はこのスワンが見れるし、さっきのマチネでは舞台脇のおじいちゃんが一曲終わるたびに私に向かって親指を上げてグーのサインを出して喜んでいたので、3時間にわたるポピュラークラシックのオンパレードも、ま、許せるか、です。し、か、し、この楽観的な気分が今日3/23の夜10時半最後のエルガー”威風堂々”を弾き終わるまで続いているかは、疑問ですが。

かくいう私は今そのマチネと夜の公演の間のしばしの休憩中。そろそろ時間です。舞台袖に戻らねば。。。!
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by Shinko_Hanaoka | 2009-03-24 08:12 | ロイヤルフィル  

マエストロDanieli Gatti、最後のコンサート。

 昨晩はロイヤルフェスティバルホールでロイヤルフィルで13年にわたり音楽監督をつとめた、マエストロDanieli Gattiによる彼の音楽監督としての最後のコンサートがありました。
 プログラムはクラシカルにモーツァルトのジュピターとベートーベン交響曲第9番のみ。彼はマーラーやワーグナー、Rシュトラウスのような壮大なものにも定評がありますがモーツァルトやベートーベンなども輝きと力に満ちています。世の中にはgiftedという人たちがいて彼は神様から贈り物を与えられた人、それも大きなギフトを与えられた人の一人です。彼自身が大きなエンジンとなり我々が一丸となって大きなうねりを作り出すコンサートは常に感動的で、私は毎回彼の才能の大きさに圧倒されます(多分会場にいる全ての人が圧倒されているのだと思います)。
 人としては傲慢だったりエゴイスティックだったりするのですが、音楽に対する情熱、dedication、忍耐には現代ではまれにみる純粋さと真実がそこにあります。彼自身があれだけ大きなエンジンとなって何千人もの人に感動のバイブレーションを送ることができるのは、全てはこの真摯さからくるのでしょう。私は昨日ステージで弾きながらああ、自分はなんてラッキーなんだろうと思いました。我々の仕事は決してお金をたくさん稼げる職業でもなければはたからみるほど華やかな仕事でもありませんが、今日この日このときこれだけの感動の中に身をおける幸せ、そしてその感動の一部となることができる幸せというものを感謝とともにあらためて感じた一晩でした。Speechlessです。It was simply a joy to play...
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by Shinko_Hanaoka | 2009-03-20 10:30 | ロイヤルフィル