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オークション

先週は姉が数日ロンドン滞在、彼女の仕事の関係で絵のオークションに行きました。3日間連続で会場に足を運び、3日目に姉が電話のため席をはずした間カタログを渡されそれにプライスを書きこんでるときなんか、半分もうこの業界の人みたいな気分。

最初の日はプレビュー&レセプション。ドレスダウンの国、イギリスではなかなかみないようなドレスアップした人たちがたくさん。こういう所に姿を表す人たちは年配の方が多いのかな、と勝手に想像していましたが、なんの若い人たちもたくさんでびっくり。ロンドン/イギリスってold moneyがたくさんある所だから私たちの知らない世界、というのが我々の生活のすぐ隣にあるものだということをああいう場所に行くと改めて感じます。そして2日目は目玉オークションのイブニングセール。この日のオークションは億単位の絵ばかりで来ている人たちも相変わらず前夜のように正装してかしこまっていました。私から見ると”たかがオークションでかっこつけちゃって”という気分でしたが、あくまでこれは私個人の好み。ある意味それがtraditionであり、respectであり、ある種の楽しみ、良さでもあるのでしょう。この日のオークションを私はなんとも言えない気分で眺めていました。だって31million poundsとか26million poundsという世界ですよ。基本的にアーティストが過小評価されるのは大反対ですが、そういうのはどうかな、と。私にはこういう世界がひどく奢ったものに見えました。確かに素晴らしいアートはpriceless、何ものにも代え難い価値があります。でも、それはそう感じる人間の心がpricelessであるのであって、勿論そのおおもとであるアートにそれなりの価値を見いだすのは当然ですが、ここで敢えて誤解を覚悟で言うとピカソであろうがモネであろうがそれも所詮は人間が作ったもの、そして1枚の紙にすぎないわけです。それをまた作ったアーティストも全く関係ないようなところで、ああいう数字で、他の人間達があーでもないこーでもないと値段を跳ね上がらせながら、うようよ売買しているのを見るのは結構複雑な気分でした。別にそれが悪いと言ってるわけではないのですが。言ってみればこういう世界もあってのアートの世界でもあるわけですし。し、か、し、あんまり良い気分はしなかった。

さて3日目はデイセール。前の2日間とはうってかわって会場の雰囲気もお値段もdown to earth。同じくピカソやらマティスやら有名どころもたくさん出ていましたが、小さい作品だったりdrawingだったりでプライスレンジがお手頃。イブニングセールの価格はあまりにも別世界すぎてオークション自体にも全然興味が持てませんでしたが、こういう現実味がある世界になってくると面白かったです。

そして最後にはペン片手にカタログにプライスを書き込んだり、いっちょまえにアートディーラーになった気分もちょっと味わいながら、私のロンドン絵画オークションデビューは終わったのでした。
こうやってたまに別の世界を覗くのも楽しいものです! そして感想としては、ディーラーさんやいろいろな人、いろいろな事がひしめくこういう世界で、ある程度張り合っていかないといけないんだから姉も大変だな、と。頑張れ!

by shinko_hanaoka | 2010-06-30 19:00  

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